CPUやGPUは良好。ストレージの遅さが気になる

ベンチマークテストでざっくりと性能を見る前に、試用機のハードウェア情報を「HWiNFO64」および「CrystalDiskInfo」でチェックしてみた。最近はずっとSSD搭載ノートPCを中心に見てきたせいか、純然たる5,400rpmのHDDをストレージのメインに据えているマシンを評価するのは逆に新鮮だった。

クリックで拡大

「HWiNFO64」による基本的ハードの構成。搭載CPUは、Haswell世代のIntel Core i7-4702MQ(2.2GHz/最大3.2GHz)だ。Intel Core i7-4700MQ(2.4GHz/最大3.4GHz)よりも動作クロックとTurbo Boost時の最大クロックが200MHz低いぶん、TDPが10W低い

「CrystalDiskInfo」による搭載HDDの情報。最近だとSSD内蔵のハイブリッドタイプもあるが、ENVY17 LMSEの標準構成では5,400rpmのごく普通のHDDを搭載する

では総合ベンチマーク「PCMark7」から。CPUやGPUは上位クラスのスペックを備えているが、ストレージがHDDであることがネックとなってしまった。総合スコアだけ見ると、「BayTrail-Tタブレットよりちょっと速い程度か?」と誤解しそうにもなるが、Computation Scoreのように計算力が試されるテストでは、しっかり性能を出している。

「PCMark7」のスコア。パワーのあるCore i7搭載機な割に、スコアが3000ポイント未満なのはストレージが原因

■ PCMark 7
PCMark score 2835
Lightweight score 1420
Productivity score 1021
Creativity score 2849
Entertainment score 5185
Computation score 13768
System storage score 1461
Raw system storage score 303

「CrystalDiskMark」によるベンチ結果。テストデータは「1000MB×5、ランダム」を使用した

ストレージ性能が厳しそう、ということがわかったので「CrystalDiskMark」で詳しく読み書き速度を計測してみよう。

結果から判る通り、シーケンシャルリード・ライトともに90MB/sec台というのは現行HDDの中でもやや遅いレベル。アプリやOSの起動時にややもたつく印象があるが、その原因はストレージの速度にある。SSD、またはそれに準じたハイブリッドドライブなど、もうちょっと今どきのノートPCらしいストレージを、CTOの選択肢として用意してほしいものだ。

続いてはCPUの馬力を見るための「CINEBENCH R15」、そしてGPUの馬力を見るための「3DMark」だ。

「CINEBENCH R15」のテスト結果。R11.5のスコアとは互換性がないので注意

「3DMark」の結果

■CINEBENCH R15 ■3DMark
CPU Multi 539 Fire Strike 1490
CPU Single 125 Cloud Gate 8425
Ice Storm 65325

CPUの評価はCore i7らしいパワーを感じさせるが、搭載GPUはモバイル用ミドルレンジの中でも低めに位置するNVIDIA GeForce GT 750Mであるため、Fire Strikeのスコアはふるわない。

Core i内蔵GPU(Intel HD Graphics系)よりは高速だが、現行のデスクトップ向けミドルレンジGPU(GTX 650TiやRadeon R7系など)と比べると、パワーが落ちる。大型ハイエンドクラスの製品なので、もう少しパワフルなGPUが欲しいところだが、コスト面で厳しいのだろう。

このGPUパワーはどの程度のゲーミングに堪えられるのか? ということで「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」の公式ベンチ(キャラクタ編)でテストしてみた。

結果は下図の通り。GeForce GT 750MだとフルHD&最高画質では"普通"評価だが、画質設定を一番下(標準品質)まで落とすと、かなり快適に遊べることが分かる。Gigabit Ethernetも付いているし、サウンドも良く鳴るため(Beats Audioはクオリティが高い)、ライトゲーマーが使ってもよいマシンといえるだろう。ただ冷却ファンがちょっとうるさいため、ヘッドフォンを用意してプレイしたい。

FF14公式ベンチのテスト結果。すべて解像度は1,920×1,080ドットで、下のものほど画質が下がる

最後に「bbench」を使ったバッテリのスタミナをテストする。液晶は50%輝度固定、バックライト常時点灯に設定し、無線LANを使った定期的なWeb巡回とキーストローク加えてテストした。

結果は「6時間33分」で、17.3インチという大型液晶を搭載し、HDDやGPUといった電気を食うデバイスを積んでいる割には、バッテリ駆動時間は結構長め。大きく重いのでモバイルには向かないが、家庭内でちょっと移動して使う程度の利用法なら、十分なスタミナを備えているといえるだろう。