6月8日、鳥取県・伯耆町の植田正治写真美術館にて、デジタルカメラを用いたフォトスクールが開催された。これは、写真家の故植田正治氏(以下、敬称略)の作品を地域住民に身近に感じてもらいたいと、同館が3年前から主催している定期イベントだ。
今年は植田正治生誕100周年という節目の年でもあり、5月に開催されたフォトフェスティバルを始めとしてさまざまなイベントが予定されている。今回のフォトスクールは、植田正治写真美術館の主軸イベントとして開催しているとのこと。植田正治は世界的に有名な写真家で、その作風は世界でもそのまま「植田調(Ueda-cho)」として知られる。詳細は植田正治写真美術館のWebサイトを参照いただきたい。
自然いっぱいの中で、工夫して写真を撮ってみる
さて、2013年度第一回となるこの日は、鳥取県の大山西小学校2年生2クラスの生徒と保護者、約70名が参加。レクチャーを受けるロビーがほぼ貸し切り状態という、同館でも初という大規模な開催となった。
撮影用カメラとして利用されたのは、カシオ計算機のEXILIM ZRシリーズから2モデル。子どもたちにはシンプルな操作で簡単に使える「EX-ZR300」、保護者にはチルト液晶つきの最新フラッグシップモデル「EX-ZR1000」が一人一台ずつ貸し出された。
まずはクラスごとに展示室で作品鑑賞。植田正治といえば、鳥取砂丘を舞台にした抽象絵画にも似たデザイン性を感じさせる写真を多く残した写真家だ。晩年には、俳優の福山雅治さんに写真を教えた師匠としてご存じの方もいるだろう。そんな植田の代表作を、森道彦館長とスタッフの井上さんによる解説を受けながら、全員が思い思いに観賞し、楽しんだ。
興味深かったのは、森館長の解説が単なる作品説明にとどまらず、実際の撮影に生かせるテクニックとからめて行われていた点だ。例えば、植田が砂丘を作品に選んだ理由から背景をシンプルにして被写体を引き立てる考え方や、演出写真の代表作「妻のいる砂丘風景」をもとにした被写体の組み合わせ方などがそう。身近な話題が出てくるだけに、生徒はもちろん保護者たちも真剣に聞き入っていた。
その後は実技パートへ。ここから講師を務めるのは、地元で活躍するフォトグラファーの牧田教介さんと、受講者用カメラを提供するカシオの古川広樹さんだ。
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