撮りたいモノは何でもOK
牧田さんから、撮影テーマの発表と芸術写真の簡単な講義がスタート。「芸術写真を撮ろう」というテーマを聞いた時は、小学生には難しいのでは…という印象を受けるも、「物、花、人、風景、景色、場所など撮りたいものがあれば何でもOK。大切なのは『どんなふうに撮るか』という工夫をしたり考えたりすること」という説明を聞けば、考え方自体は非常にシンプルな要素で成り立っていることに気づく。
また、最初に提示された被写体ごとに、表現のオモシロポイントや撮影上の工夫の方法、意識しておくべき点などが作例と共にQ&A方式で解説されるため、参加者は比較的スムーズに理解できたようだ。
最低20枚の撮影を目標に、生徒には「みんなに見せた時に『すごい!』『どうやって撮ったの?』『なんだこりゃ!』と言われるように」、保護者にも「ぜひ『私にしか撮れない写真』を見せて欲しいと」と、よい写真へのヒントを与えていた。
保護者用のEX-ZR1000。撮影シーンの解析とカメラの設定、それに合わせた画像処理を同時に行う「プレミアムオート PRO」機能、撮りたい時にさくさくとシャッターが切れる「快速シャッター」を搭載。画像処理エンジン側で自動的に単写か連写を選択したり、明暗差の激しい場所では連写した画像を合成して最適な一枚を作成したりするなど、誰でも簡単に美しい写真が撮影できる |
カシオ計算機の古川さんから、ボタンのモード説明や半押し・全押し、被写体により近づいて撮ることなどの簡単なレクチャーを受けると、全員でさっそく実践。「サクサクとシャッターが押せることは撮る人にとってすごく気持ちがいい部分だと思うんです。そのためにカシオが注力してきた点が最も発揮されているのが、このハイスピードエクシリムZRシリーズです。カメラって楽しい、という気持ちになっていただく上での大きなポイントでもあると考え、今回ご提供する機種として選びました」(古川さん) |
低学年だけに初めてカメラを手にする生徒も多く、ボタンを触ったり、カメラを構えたり、レンズをのぞいたり…と、最初のうちはこわごわ。初めて使うズームに「わーおおきくなった!」と驚く声も突然上がったりしていたが、次第に「これは私のカメラです」とでも言いたげな表情で、カメラとの距離を縮めていく様子が微笑ましかった |
いよいよ撮影タイムへ
当日は夏のように暑く快晴の一日だったため、撮影場所は美術館の内外で行われた。ちなみに、会場の植田正治写真美術館は、建築家の高松伸によって設計され、建物自体が非常に美しいデザインになっている。トロンプルイユ(だまし絵)的な表現や影を生かした作品と同様、幾何学的な形状ながら見る位置や角度でさまざまに表情を変える面白さもあるため、実は東京や大阪からの来場者が圧倒的に多いのだそう。そうした贅沢な空間をめいっぱいに使いつつ、誰もが(学んだことを気にしつつも)感じたままに場所を決め、被写体を決め、角度や影の位置などを決めては、撮影を楽しんでいるようだった。
最初は風景や手近なものをさらりと撮影していた人も、慣れてくると、次第に目線が低くなったり高くなったり、被写体に近づいたり遠ざかったりと、身体全体で撮影し始めるのが面白いところ。帽子を投げたり、遠近法をうまく使ったり「演出写真」に挑戦中の親子、昆虫や花など一つの被写体を一生懸命クローズアップしようとする子どもたち、お互いの表情を撮り合うグループがいれば、先生をこっそり隠し撮りしては「撮ったよ~」とニコニコ顔で見せては驚かせている場面などにも遭遇。
まったく同じポーズで撮影している親子もいて、まさに「カメラの数だけ撮り方がある」楽しい空気感にあふれていた。撮影中、ずっと子どもたちや保護者をサポートしていた古川さんは、「ユーザーさんと直接コミュニケーションを取ることができる機会はやはり嬉しいですね。こうした機会を通じて、写真やカメラ文化に小さい時から親しんでもらうことで、カメラ市場も一緒に育っていけばいいなと思います」と語っていた。
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