現在の視聴可能エリアは次の通りだ。関東は東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城の1都5県、東海は愛知・三重の2県、関西は大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良の2府3県、中国は広島県、九州・沖縄は福岡・沖縄の2県の一部地域となる。

NOTTVでは、いかにサービスをユーザーに浸透させるかがポイントだ。対応端末自体はまだ2機種だが、ドコモが積極的に展開していく意向を示している。また、ほかのキャリアについても、メーカーがドコモ向けに作ったNOTTV対応端末を、わざわざ別にする理由も少ないので、自然と端末が増えていくだろう。もともとワンセグ対応の端末であれば、端末の対応自体は困難ではないのだ。

コンテンツに関しては、視聴者数の多い地デジではできないような番組作りもできるだろう。不特定多数にまんべんなく見られるような番組だけでなく、特定の領域に向けた「尖った」番組だってできるはずだ。昔は深夜番組でチャレンジしていたような先鋭的な内容の番組も可能だろう。不特定多数の視聴者の動向を気にせず、自由な発想で番組作りに期待したい。

趣味志向が多様化し、テレビ以外にもさまざまな情報源や娯楽が台頭してきた現状で、テレビがコンテンツの王様であり続けるのは難しくなっている。平日昼間は働いていて、夜遅く帰ってきてテレビをつける、という人は確実に少なくなっている。ライブ番組の録画もできず、入る場所も限られるNOTTVが、時間の限られる視聴者に食い込むためには、それだけの魅力が必要だ。

もともとテレビとSNSの相性はいい。同時に見る人がつぶやきあい、番組に参加することが魅力につながるし、SNSを見て面白そうなら視聴者も増える。リアルタイムのつながりなので、録画ではなく、ライブで見ている人同士がつながりやすい。NOTTVがSNSとの連携を重視し、リアルタイム放送にこだわるのも分かるが、その仕組みは生かし切れているだろうか。

有料放送で端末も限られ、「試しに見てみる」ことがしづらいNOTTV。録画も画面キャプチャも「著作権保護の関係で」(mmbi)できないというのは、今の時代に適しているかどうかも疑問だ。キャプチャもできないので、画面を切り取ってSNSで話題が流通することもできず、放送中の番組の画面を生かした交流もできない。「既存のテレビの枠組み」にとらわれているのではないかという懸念もある。ニコニコ動画は、テキストでの交流をより重視しているが、NOTTVはどこまで踏み込めるか。

リアルタイム放送と蓄積型放送を組み合わせ、過去番組を常に再配信するというやり方ができれば、「いつでも見られる」「電波が入らなくても見られる」「見たいときに見られる」といった安心感につながるのではないだろうか。東芝などの全番組全チャンネルを録画するレコーダーにも似た使い方ができるのは便利だろう。魅力的なコンテンツがあれば、追加料金で再配信というのも考えられる。

また、雑誌などを配信する蓄積型コンテンツもひとつの方向性だろう。携帯電話網のオフロードとしても有効だし、高画質な番組や雑誌を、テレビやPC、スマートフォンなど、別のデバイスで表示する機能も欲しい。

貴重な電波資源を新たに獲得したモバキャスは、それを有効活用する義務がある。NOTTVは、それを利用する放送局として、今までとは異なる放送の姿を実現して欲しいところだし、それを期待してもいいはずだ。

ハイスペック防水タブレット

ここからは再びMEDIAS TAB N-06Dについて解説していく。MEDIAS TAB N-06D のCPUはQualcomm APQ8060で、クロック周波数は1.2GHzのデュアルコア。メモリはRAMが1GB、ROMが16GBとなっている。通信面では、3Gに加え、LTEサービスの「Xi」やIEEE802.11b/g/n、Bluetooth 4.0に対応。一般的なプロファイルに加え、TIP(Time Profile)、FMP(Find Me Profile)、PXP(Proximity Profile)、ANP(Alert Notification Profile)、PASP(Phone Alert Status Profile)という4.0用のプロファイルも搭載。カシオ計算機の「G-SHOCK GB-6900」と連携して時計の時刻修正や受信メールを時計で表示するなど、各種機能を利用できる。 メモリ容量も十分だし、プロセッサの動作も快適。最新機能にも追従しており、好感が持てる。無線LANが2.4GHz帯のみで、5GHz帯に対応しないのは残念な部分だ。

このほか、spモードメールや新メールアプリの「CommuniCase」、dマーケット、dメニュー、しゃべってコンシェル、iチャネル、声の宅配便などのドコモサービスにも対応。緊急速報「エリアメール」も利用できる。さらに、赤外線通信機能やおサイフケータイといった従来の携帯電話でおなじみの機能も備えるフルスペック端末だ。

さらに、画面上部の通知領域から選択できる機能「タップサーチ」も搭載。どんな画面でもテキストを選択して、Androidの検索機能を使って検索することができる。テキストを読み込むのではなく、画像認識でテキストを抽出するため、画像でもテキストとして検索できるのが面白い。その分、誤認識もあるが、通常ならテキスト選択ができないものでも検索できる。

タップサーチ機能。画面の一部が拡大するので選択しやすい

テキスト認識すると、すぐに検索が可能

画像も認識できる。ただ、誤認識する場合もあるようだ

こちらは通常のテキスト選択。あまり使いやすくはない

このほか、DLNAを使ってテレビやPC内の録画したテレビ番組、写真、音楽、ビデオをワイヤレスで表示できる「DiXiM Player」も搭載。DTCP-IP対応であれば録画したテレビ番組を転送することもできる……はずだが、筆者の環境では実際の動作は確認できなかった。

DiXiM Player

MEDIAS TAB N-06D内のコンテンツをテレビで見たり、テレビの録画番組をMEDIAS TAB N-06Dで再生したりができる