―英語を上達させるための具体的な方法はありますか?

ショーンK:先ほど言ったアサーション、そして「英語のロジック」と「アウトプット」を実行することですね。

―英語のロジックとは?

ショーンK:まず、日本語と英語ではロジックが違います。別の言い方をすると英語という言語には、その言語を取り扱う時のルールがある、という事です。

例えば、レストランで「すみません、コップにお水が入ってないんですけど」という日本語を英語にしようとする時、「Excuse me. I don’t have a glass of water.」は確かに英語という言語、例えば文法としては問題ありませんが、ロジック、英語のルールという意味では全く意味をなしていません。

英語には「状況の説明は後」で、「結論」が先というルールがあります。So what?(だから何?)を先に伝えるのが英語のロジックです。つまり

「Could you give me a glass of water? Because I don’t have one.」(お水をいただけますか? なぜならグラスが空になったので)と言わなければなりません。

「そんな事いちいち言わなくても分かるだろ?」が日本語のロジック、「そんなシンプルな事もちゃんと言えないのか?」が英語のロジックです。まあ、レストランでの水は少し極端な例かもしれませんが……。

ほかにも例を出してみましょう。アメリカ人は小学生でも、親とこういった会話のやりとりをする事があります。

“Mom, I don’t want to go to school today because of the reasons as follows: one, I don’t like Bob. He’s bullying me; two, I’m so tired or maybe I feel sick today and three, I hate physical exercise.”

(ねえ、ママ、今日は学校に行きたくないの。理由は以下のとおり。1、ボブはいじめるから好きじゃない、2、今日はなんだか疲れてて、もしかすると風邪かも。3、体育がきらいなの。)

するとママは、

”Well, you go to school because the reasons you said are not reasonable , at least not compelling enough to allow me to say: “OK, you don’t have to go to school today.” Of course, I’m here to support you and I’m on your side. Tell me how I can help you.”

(いいえ、あなたはちゃんと学校にいくの。なぜなら、あなたが挙げた理由は、学校に行けない理由としては成り立たないわね。もちろん私はいつでもあなたの味方だしサポートするわ。ママに何かできる事あるかしら?) なんて返しをしたりします。

映画の字幕や吹き替えならまだしも、日常会話でのこのやりとりは日本人には違和感があるでしょう。

英語を第一言語とする人たちは、子供のころからcause and effect (原因と結果)を明示すること、any statement comes with reasoning(どんな主張にも“理屈の通った”理由付けが必要)などとトレーニングされているんだと知ると「確かにそんな彼らが大人になって、われわれじゃ太刀打ちできんかもしれんな。そりゃプレゼンも、交渉もうまい訳だ」とおじけづく人もいるかもしれません。

ただ、これは後天的に学習できます。大事な事は、英語という言語を学ぶ過程で、こうしたルール、ロジックも言葉の違いと同様にきちっと体系的に学習されるべきで、それが両輪で初めて英語なのだ、という認識を持つという事がとても重要だという事です。

では、英語を母国語としてない日本人が英語のロジックを身に付けるためには、どうするのか?私が日本人の英語学習者に試したものの中で効果的な学習方法が2つあります。

●お話を伺った方

ショーン・マクアードル川上(ショーンK)氏

経営戦略コンサルタント。さまざまな事業領域における外資系、日系企業の経営戦略、経営再建、事業開発、戦略提携(M&Aなど)、グローバル経営などへの助言、支援を行うブラッドストーン・マネジメント・イニシアチブ代表取締役。現在、東京、ニューヨーク、パリ、シンガポールなど7都市を拠点に経営コンサルタントとして活躍。ベンチャー育成、創業支援、ビジネスリーダーのためのスキル開発トレーニングなどの活動にも従事。また、執筆、ラジオ、テレビのパーソナリティ、コメンテーターなどマルチな活動を展開中。主な著書に「プロフェッショナルの5条件(朝日新聞出版)」、「MBA講義生中継 経営戦略(TAC出版)」、「自分力を鍛える(あさ出版)」、「即聴⇔即答ビジネストレーニング(アルク)」などがある。

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