コンピューターの歩みはテキストエディターのそれと同じです。テキストファイルの作成や編集に欠かせないテキストエディターは、現行のOSであるWindows 7のメモ帳やMac OS XのTextEditのように標準搭載されていることからも、その重要性を理解できるでしょう。「世界のテキストエディターから」では、Windows OS上で動作する世界各国のテキストエディターを不定期に紹介していきます。

市販のテキストエディター「MIFES」

遙か昔、MS-DOSがメインOSとして使われていた時代。テキストエディターは欠かせないツールの一つでした。CUI(Character User Interface:キャラクター・ユーザー・インターフェース)で操作する同OSは、多くの設定がテキストファイルで管理されていましたので、ちょっとした設定変更を行うにもテキストエディターを起動。文書を作成するときもテキストエディターを起動。あらゆる場面でテキストエディターが必要とされたのです。

このような背景を背負って登場したのが、メガソフトの「MIFES(マイフェス)」でした。当時、国民的コンピューターとして圧倒的なシェアを誇るPC-9801シリーズ用ソフトウェアとして発売された同製品(当時の名称は「MIFES-98」)は高額な価格設定ながらも日本語が使えるテキストエディターとして、瞬く間に人気を博したのはいうまでもありません。

その後、MIFES-98が備える行の折り返し機能などを踏襲した他社製テキストエディターも登場し、MIFESのアドバンテージは弱くなっていきました。特にマクロ言語「MIL」を搭載した「MIFES-98 Ver4.0」が発売された翌年の1989年には、低価格ながらも高速動作する「VZ Editor」も登場。VZ Editorの存在は、それまでのシェアを大きく揺るがすもので、某コンピューター雑誌で、「MIFES vs VZ Editor」という特集記事が掲載されるほどでした。

Windows 3.1に登場にあわせて、1993年には初のWindows版となる「MIFES for Windows Ver.1.0」が発売されましたが、その時代のライバルはシェアウェアの「秀丸」。当初はそれまで培ってきたノウハウによりMIFESの方が優れていましたが、秀丸の度重なるグレードアップと競るのは企業として厳しかったはず。

それでもMIFESは企業ユーザーを中心に信頼を集め、2011年7月に数多くの機能を備えて最新版となる「MIFES 9」を披露しました。そこで今回はパッケージソフトであるMIFES 9を取り上げ、その機能や使い勝手を紹介します。

「MIFES 9」