消費電力(グラフ71~72)
最後のベンチマークはこちらである。いつも同様にIdle(起動後の無負荷状態)、SandraのInt/Float(Arithmetic BenchmarkでDhrystone/Whetstoneの実施中)、今回は更にSandraのJavaを使ったDhrystone/Whetstone、SandraのVideo Renderingを追加した。あとFFXI Bench 3の結果もまとめたが、これは3つのプラットフォーム全部が動作するベンチマークがこれしかなかったためである。ちなみに全てのテストは各々の開始から終了までの間で一番高かった実効消費電力値をまとめているが、唯一FFXI Bench 3のNanoの結果は、ベンチマーク開始からシステムハングアップまでの間の最高値、ということになっている。
さて、絶対的な実効消費電力をまとめたのがグラフ71である。Nanoはやや高めで最大57W程度。Atomはこれに比べると優秀だが、特にGPUを多用すると47W前後まで達するのに対し、Zacateはピークでも41W、大半は40W以下に収まっており、だいぶ良い成績になっていると言える。ちなみにWindows 7の電源管理でハイパフォーマンスと省電力を切り替えても差が無いあたりは、最近のCPUらしく負荷に応じた電源管理をきっちり行っている証拠だろう。
ただ消費電力差、つまりIdle状態の実効消費電力と各テストでの実効消費電力の差をグラフ72にまとめたが、こちらを見てみると、相変わらずNanoの消費電力が多いのは致し方ないとして、意外にもZacateよりもAtomの消費電力差の方が少ないことが判る。グラフ71とあわせて考えると、AtomのCPUのコアの消費電力変動がそれほど大きくない(SandraのVideo Renderingでは12Wほどの差になっているところを見ると、ION2の消費電力変動はそれなりにある)ということと思われる。Zacateの方はそれなりで、CPUコアとGPUコアのどちらも、結構な消費電力変動があることが判る。もっともこのクラスとなると、通常の様に「実効消費電力差から、実際のコアの消費電力を算定する」のは余り意味がなさそうだ。というのは、コアの静的な消費電力と比して、変動分の消費電力が非常に小さいからだ。あくまでこれは傾向としてこんな具合になる、という以上のものにはならないだろう。