Disc1 M-01 ピンクのバンビ
[2003/3/07:1stミニアルバム「ピンクのバンビ」収録]
――それでは実際にアルバムを見ていきたいのですが、まずはその前に、歌手としてデビューすることになったときの感想を教えていただけますか?
新谷「私が声優になった頃は、声優さんでも歌を歌う方が増えてきていた時期で、私自身もオタクだったので、いろいろな声優さんのCDを買っていたりもしていたんですけど、まさか自分が歌うことになるとは思っていなかったですね。私自身、歌は好きなんですけど、そんなに得意なほうではないので、歌を出そうと言われたときはすごくビックリしました。うれしいよりもビックリが先でした」
――まずミニアルバムの表題曲である「ピンクのバンビ」では、新谷さんご自身が作詞をなさっていますが、ミニアルバムを作るにあたって、新谷さんの意見はどれくらい入っているのですか?
新谷「最初からけっこういろいろなことを言っています。全然わかっていないくせに(笑)。何をどう伝えていいのかもわからず、それ以前に、どんな曲をやりたいのかもよくわかっていなかったので、とりあえず自分の好きなアーティストさんや好きな曲をスタッフさんに渡して、とりあえずこんな感じで、みたいな(笑)。バンドなどでキャッキャできるような感じをやりたかったんですよ」
――そうして出来上がったのが「ピンクのバンビ」になるわけですね
新谷「無知って怖いなって思いました(笑)。知らないくせにこだわりすぎみたいなところがありまして、音に関しても、ちょっと知ったかぶって口を出してみたりして、『このシンセちょっと大きめに』とか言ったら、『それギターです』って(笑)。それぐらいわかっていないのに、言いたがりだったなって」
――ちょっと言ってみたかったんですよね
新谷「そうそう(笑)。カッコいいかなって思って言ってみたら、全然ちがっていて。ただレコーディングのときはすごく緊張していたのを覚えています」
――キャラクターソングなどでレコーディングの経験自体はすでにありましたよね?
新谷「キャラソンでもまだまだ緊張しているころでしたからね。あと、キャラソンとの差をどのように出したらいいか、みたいなことを考えていたような気がします」
――ちなみに、ご自身で作詞をすることになったきっかけは?
新谷「何だったんでしょうね。『やれば?』って言われて、『ああ、はい』って言ったような気がします(笑)。今は、やれば? って言われてもなかなかできないですけどね。すごく時間がかかるんですよ、私。たぶん、1曲ぐらいは作詞をやってみたかったんだと思います。といいつつも、この『ピンクのバンビ』というミニアルバムでは2曲も書いているんですけどね(笑)。まあ、やってみたかったんだと思います、きっと」
――この頃はやる気があったんですね
新谷「この頃はね(笑)。ちなみに、この『しんたにりょーこ』という作詞の表記も、私がこれにしたいと言ったわけではなく、気がついたらなぜかこうなっていたんですよ」
――表記をひらがなにしているのは、声優の新谷良子とは別人格というような意味合いなのでしょうか?
新谷「たぶん、そのようなことだったと思うのですが、歌は普通に"新谷良子"で歌っていますから、よくわからないんですよ」
――その後もずっと作詞のクレジットはこの「しんたにりょーこ」という表記ですよね
新谷「もうそろそろムリですよね、年齢的にも(笑)」
――ちょうど今、『ピンクのバンビ』が流れていますが、今あらためて聴くとどのような印象を受けますか?
新谷「声が若いですよね(笑)。おそらく今歌っても、絶対にこの魅力は出せないと思います。この『ピンクのバンビ』のころから、歌においては"等身大の新谷良子"というものを貫いていきたいという思いがあったのですが、この時点で自分にできる精一杯がこれなんだって思うと、やっぱり若いなって思います。あと、これは昔の歌全般に言えると思うのですが、ちょっと無責任な幸せみたいなものを感じます」
――無責任な幸せですか?
新谷「今よりも言葉に説得力がないんですよ。これも若いからこそ言えている、みたいなところがあるので、やっぱり年齢って重なっていくものなんだなって感じました(笑)」