消費電力(グラフ84~89)
最後に消費電力である。今回の場合、マシンの構成がだいぶ違うので、絶対的な消費電力の差(グラフ84)はあまり参考にならないかもしれない。そこで、アイドル状態の消費電力と、おのおののテストにおける消費電力の差(グラフ85)に注目してみると、さすがに32nmにフル移行しただけあって、Sandy Bridge系の消費電力の低さが目立つ。今回の場合、Core i7-975のDDR3-1333を3chという構成も消費電力を引き上げる要因のひとつなのかもしれない。
同様にCore i5-670とCore i5-2500Kの比較だが、こちらはもともとTDP枠が同じ製品同士の対決だし、またCore i5-670の側はオンボードデバイスが最小のMini-ITXのDH57JGという事もあり、絶対的な消費電力(グラフ86)ではCore i5-670の方がやや下回ることになった。これは消費電力差(グラフ87)ではより顕著である。単にオンボードデバイスだけではなく、動的な消費電力もやや増えているという事だろう。もっともTurboがより効きやすい構成だし、性能の上がり方を考えればこの程度の増加は許容範囲だろう、とは思うのだが。
グラフ88と89は、コアの数と消費電力の関係をプロットしたものだ。こちらのテストではTurboを無効にして測定している。面白いのは、i7-975ではHyper-Threadingの有効/無効でだいぶ消費電力に開きが出るが、i7-2600Kではさほどでもないことだ。それだけ、i7-2600Kではコア内の実行ユニットの利用率が高い、ということかもしれない。
それはともかくこの近似値の傾きからコアあたりの消費電力を算出してみると、
HT有効 | HT無効 | |
---|---|---|
Core i7-975 | 27.8W/コア | 27.2W/コア |
Core i7-2600K | 14.8W/コア | 10.9W/コア |
といったあたりになり、改めてSandy Bridgeの優位性が確認できた形だ。ちなみに以前Core i7-965で同様のテストを行った結果をこちらに示しているが、ここに比べて大幅にコアの消費電力が増えているあたりは、45nmプロセスがぼちぼち限界ということなのかもしれない(もっともこの時のテストと比較すると、ベンチマーク自体もバージョンアップしているので、同じ数字になるとは限らないのだが)。
同様にCore i5-650とCore i5-2500K(H67)の比較を行ったのがグラフ89である。同じようにコアあたりの消費電力を算出してみると、
HT有効 | HT無効 | |
---|---|---|
Core i5-670 | 17.0W/コア | 13.0W/コア |
Core i5-2500K | - | 10.9W/コア |
となる。Core i5-670の場合2コアなのでいまいちデータ点数が少なすぎる嫌いはあるが、それでも納得できる数字ではある。Core i7-975と比較するとCore i5-670の消費電力が低いが、これはClarkdaleはCPU部分は32nmのWestmereベースであることに起因しているためだろう。