操作性は最新のシステムを採用したMG6130が一歩リード
まず最初にチェックしたのは「操作性」。言い換えれば使い勝手だ。EP-803AとMG6130には、本体のみで各種操作を行うときに、次の操作をLEDボタンが光って教えてくれる便利な機能が搭載されている。EP-803Aは「カンタンLEDナビ」、MG6130は「インテリジェントタッチシステム」だ。
EP-803AとMG6130は、コピー、スキャン、ダイレクトプリントなど、本体だけで「できること」がたいへん豊富なので、どれだけ簡単に印刷やコピーが行えるかが重要になる。そこで「ユーザーインタフェースのデザイン」「液晶メニューの構成」「見やすさ」「分かりやすさ」「特定の作業を実行するまでのステップ数」といった点をチェックした。
カンタンLEDナビとインテリジェントタッチシステムに関しては、どちらもよくできた機能だ。特に、キヤノンのインテリジェントタッチシステムは後発となるだけに、研究した成果がよく現れている。エプソンのカンタンLEDナビがオレンジ色のみの構成なのに対し、インテリジェントタッチシステムはメインの白色LEDに加えて特定のボタンをグリーンやレッドにすることで、どのボタンがどの機能なのかをより分かりやすくしている。
EP-803Aに関しては、実際に使ってみるとタッチパネルのボタン配置や移動先の液晶メニュー項目で使えるボタンの有効/無効の絞り込みが少し甘い気がした。コピーのようにステップを踏んでいくと使えるボタンが減っていく処理もあれば、メモリーカードからの写真印刷のようにステップが進むと選択肢が増え、有効なボタンが増えていく場合もあり、2.5型の液晶モニタではやや小さいこともあって年配の方が使用するにはちょっと厳しい。十字ボタンと「+」「-」ボタンも混同しやすい機能割当になっており違いがわかりづらい。また、LED表示が消えても透過部分の表示が薄らと見えてしまうのでパネル全体が煩雑な印象が強い。このシステムが登場した当時はかなり目新しかったが、その後あまり改善がなく、今となっては物足りなさを感じる。
EP-803AのカンタンLEDナビは、オレンジ色のLEDとパネル上に書かれた文字によって、操作をナビしてくれる。タッチパネル上にあるOKボタンを中央に配置した上下左右の矢印キーで操作を行うようになっている。コピーは、ホームから「コピー」を選んでカラーやモノクロなどを指定して実行する |
MG6130は、後発だけによく練り込まれている。操作に必要なボタンだけが浮かび出るように表示されるインテリジェントタッチシステムは使いやすさをとことんまで追求しており、EP-803Aとは違って使用しないボタンはボディと同色になってまったく見えない。また、デジタルカメラのメモリを挿入するとほとんど操作なしで印刷できるなど、目的の作業までのステップ数がかなり少なくなっており、従来の同社の製品と比べると格段に進化している。しかし、液晶モニタ下部にある3つのボタンが若干操作に迷いを生じさせる原因になっているのは残念だ。液晶モニタをタッチパネルにすれば解決できそうだがコスト的に難しいだろう。液晶モニタは3.0型の大型のものを搭載しており、さらに字面を大きくしたり文字の線先のチラツキを排除するなど、視認性はEP-803Aよりも遥かに優れている。年配の方にとってはうれしい配慮だ。
MG6130のインテリジェントタッチシステムは、液晶下部分に設けられた3つのボタンとメインの操作ボタンを組み合わせて使う。ボタン類は静電センサー方式で反応も軽やかだ。上下左右の4方向キーの周囲に見える丸いボタンは、スクロールホイールになっている。また、使用しないボタンは判別できないほどほとんど見えなくなる |
操作性ではどちらも5年ぐらい前の製品と比べるともかなり使いやすくなっているが、新しいだけにMG6130が一歩リードしているように感じた。今後の進化の方向性としては、液晶モニタをタッチパネルにして完全にボタンを排除したり、あるいは最低限の操作だけできるシンプルモードと深い部分まで細かく指定できるプロフェッショナルモードのような複数のメニューを用意するのも良いかもしれない。エプソンもキヤノンもまだまだ進化の可能性は残されており、将来的には、この部分の改善がシェア獲得の差になってくるだろう。