Another Shadow~あなたの影が勝手に動き出す!
「影が落とし主を無視して動き出す」というのはファンタジーのテーマとしては定番のネタだが、これを実現してしまったのが、この「Another Shadow」という展示。
開発はデザインエンジニアの緒方壽人氏で、技術ベースは2006年にSIGGRAPH Significant New Researcher Awardを受賞したPICMOやTeddyの作者としても知られる東京大学の五十嵐健夫准教授の開発した「Rigid」のアルゴリズムを用いている。
まず、赤外線カメラで、人間の影を取得して、これを2Dのイメージとしてポリゴン分割する。続いて、このポリゴン分割した影絵に対し、重心、頭部、手足にピンを打ってRigidのアルゴリズムを適用し、アニメーションを実行する。
動画 |
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Rigidのアルゴリズムを解説した動画 |
あとは、このアニメーションをプロジェクタで同じスクリーンに投射する。
スクリーンに映ったアニメーションする影と、実際の人間の影を反復撮影してしまわないのは、実際の人間の影を取得するのに用いているのが赤外線カメラのため。また、赤外線カメラに高価なモーションキャプチャ用のOptiTrack製を用いているのは、このシステムを実現するにあたり100fpsの赤外線撮影が不可欠だったためだ。影そのものを100fpsで取得する必要はないが、動きの速い人間の影を残像なくクリアに取り込むためにはハイフレームレートが必要だったのだ。
影を自分から切り離せるような感覚が味わえるのはかなり楽しい。
どちらかと言えば技術展示というよりもアートに近い展示だと言える。
人を引きつける魅力があるのでデジタルサイネージなどに応用すれば商業的にも成功するのではないか。