Fur Display~毛は口ほどにものを言う?
猫が敵を威嚇するときには毛を逆立てたりするが、あれは毛を使った感情表現だといえる。つまり情報の伝達に毛を使っていることになる。
また、人間は毛皮のコートをファッションとして着用したりするし、ぬいぐるみを触って安堵を得たりするし、毛皮を身近に感じているため、毛皮をみると触ってみたくなる衝動に駆られる。毛皮には人を引きつける魅力があるわけだ。
慶應義塾大学、電気通信大学大学院、東京大学の研究グループは"毛"で情報を伝達する可能性や"毛"と人間とのインタフェースやインタラクションについての研究を行い、その成果として「Fur Display」を発表した。
研究グループは毛皮に対して高周波の振動を与えると毛が立つことを発見し、この原理を応用してFur Displayを開発したという。
仕組みは意外にシンプルで、円盤型の振動モーターを毛皮に取り付けているのみ。このモーターで振動を与えるとモーターの出力にもよるが、直径約10cmの範囲毛が逆立つ。また、振動モーターを複数取り付け、各モーターの振動数を制御してやると、毛並が移動するような効果まで与えられることを発見。その機構もこのFur Displayに盛り込んでいる。
実際に毛並が動いているときに触ると、なんだか生きている動物を触っているみたいでリアルに感じる。
この技術、なかなか有効な応用先が思いつかないが、直接的には、ぬいぐるみなどに適用するのが一番現実的なように思える。円盤型振動モーターは携帯電話などのバイブ機能に使われているものでコストも安めだし、この機構を搭載したぬいぐるみがそれほどバカ高くなることもないはず。
触ると話したり動いたりするぬいぐるみはあるが、なでると毛並が動くぬいぐるみはまだない。セガトイズの「夢ペット」シリーズあたりとコラボしたら相当面白そうなのだが、どうだろうか。