■『STEINS;GATE』の開発期間
最初に確かファミ通さんで発表されたとき、開発状況15%ぐらいって出ていたと思うのですが、あれは認識違いで、実はその時点で60%ぐらいはできていたんですよ。アドベンチャーゲームは、シナリオができた時点で、もう7割できたのと同等です。シナリオがやっぱり一番時間がかかりますからね。あの時点でシナリオはほぼ完成していたのですが、キャラの立ち絵や背景、イベント絵などがまだ15%ぐらいしかできていなかったので、スタッフが「15」って言ってしまったんですけど、あれは間違いです。開発期間というと、『CHAOS;HEAD』の後半とかぶっているので、着想から1年半ぐらいだったと思います。

■科学の勉強方法
まずは本を読むことじゃないですかね。自分に無い知識を蓄積することを楽しいと思えるならはかどると思います。僕が何かの作品を作るなら参考になりそうな本をamazonでポチってます。例えば『STEINS;GATE』のときは、時間に関する本とか、物理の本、哲学の本、科学の本……、たぶん普通の人よりは詳しいと思うのですが、そこに加えて、もっと裏づけを持って物語を作るために、参考書をたくさん買って読んでましたね。

■フォーントリガー
『STEINS;GATE』に"フォーントリガー"って出てくるんですよ。ボタンを押すと電話が呼び出せて、メールや電話ができるんですけど、実はあれをリアルな携帯でやりたかったんです。つまり、画面の中にいるヒロインが『じゃあ今からメールするね』って携帯をいじると、本当に自分の携帯にメールが来るというのをオンラインで実装したかったんですね。例えば最初はチュートリアル的に、そのヒロインが『じゃあ、そのメールに0101111って書いて返信して』って言うのに対して、それを本当に打って返信する。それが間違っていたら、間違えたなりのレスポンス、合っている場合は、物語が先に進んでいく。そんな感じですね。

『STEINS;GATE』ではまだバーチャルな携帯でしか"フォーントリガー"は実現していませんが、もともとリアルな携帯電話を使いたかったんですよ。ゲーム内のキャラクターとコミュニケーションをとって、突然電話がかかってきたりする。まあ、リカちゃん電話状態なんですけど、そんなことになったら、これはもう萌えるだろうって思ったんですよ。でも、それを実現するためには、それこそ個人情報保護法とかサーバの構築とか大人の事情というものがあって、それをクリアするのが開発期間的に難しいだろうということで、泣く泣くバーチャルな携帯電話になっています。だから、もしかしたら、今後『STEINS;GATE』が何らかのハードに移植されるようなことがあったら、この"フォーントリガー"が採用されているかも知れませんよ。

■CEROレーティング
『CHAOS;HEAD』のコンシューマ版がXbox 360だったのは、表現倫理の問題でXbox 360というハードが最も寛容だったからです。で、いざXbox 360版を作るにあたり、PC版の表現の幅をどこも削らずにリリースするということにこだわったところ、CEROのレーティングが「Z」、つまり18禁になってしまいました。決して「Z」を狙っていた訳ではなく、ごく自然にそういうジャッジがなされた感じです。でも15禁だったPCゲームが、コンシューマになって18禁になるというのは珍しいケースですね。また『STEINS;GATE』がXbox 360なのは、最初からコンシューマで考えていたのと、これらの経験上Xbox 360のある程度表現の幅を知っていたからというところがありますね。

■作家としてのライバル
ライバルか……、誰だろう……。小室哲哉さんですかね。

(次ページへ続く)