サウンドクリエイターとしての志倉千代丸
■手掛けた曲数
300曲ぐらいじゃないですか。300曲なので、約10年と考えると、年間で30曲。計算したら一週間に一曲ぐらいは作詞・作曲をやっていないとできないんですよ。
■主題歌を作る際の苦労
タイアップが多いので、原作の読み込み、さらにもっと言うと、ネタバレへの踏み込みですね。できれば、オープニングテーマを聴いてもネタバレにならず、エンディングを迎えて、もう一回そのオープニングテーマを聴いてみると、ネタバレ満載みたいな感じがいいですね。アニメでもゲームでも、毎回、それを狙って作っているんですよ。ほかの作家さんよりも唯一「勝てる」と自信を持って言えるのは、原作の読み込みかも知れません。ゲームをやってくれる人や、アニメのファンの方というのは、すごくマニアな人もいるので、その人たちよりもある意味で、よりマニアにならないと、ユルい歌詞だと思われてしまうので、そのあたりをがんばっています。
■ファンタズムの今後
『CHAOS;HEAD』で生まれた作中バンドですが、『STEINS;GATE』にも出てくるんですよ。まだ活動しているようですね。将来、科学アドベンチャー第三弾が出てきたときにも活動しているかどうかはわかりませんが……。ただ、近い将来、もしかしたらバンドとして3次元のリアルな場所に飛び出してくるかも知れませんよ。
■ライブは好き
ライブは好きですよ。ずっと昔からバンドもやっていたし、生で演奏するというのも楽しい。何よりお客さんがそこにいるというのはいいですよね。時々、オタ芸の枠を越えちゃってるような人も居て、そういうパワフルな人を目の当たりにするとこっちも燃えてきます。あ、周りに迷惑をかけない範囲でね(笑)。
■「オレンジ」「ロマンシングストーリー」を作った経緯
経緯は……、まぁ依頼があったからなんですけどね(笑)。実は「オレンジ」という曲は、5pb.を設立して、一番最初に作った曲なんですよ。なので、気合が入っていたかも知れません。「オレンジ」のコンセプトとして、いわゆる萌えソングにはしないというのがあって、ちょっと古い時代のフォークソングみたいなものを意識してますね、メロの進行やコード進行なんかも。いつも曲を作るときは、ちょっと昔風、90年代くらいを狙っているんですけど、「オレンジ」は90年代よりも前、70年、80年代ぐらいのフォークのようなテイストにしようというコンセプトもありました。「ロマンシングストーリー」は、90年代初頭のディスコソングみたいなところを狙って作った感じですね。
■「tiaraway」のコンセプト
「tiaraway」は、ほぼ全曲タイアップでやっていたユニットだったので、コンセプトも大事ですが、まずはそのタイアップ先の作品に合わせるという大命題がありました。ユニットとしてのコンセプトを敢えて言うとすれば、南里侑香ちゃんと千葉紗子ちゃんという2人の仲がすごく良かったのを、日常的に目の当たりにしていたので、「二人である事の意味」が、ある意味でコンセプトになっていたと思います。それはヴォイスカラーとしてのコントラストや、ハーモニーの親和性といった部分にも共通して言えるものです。一緒にロサンゼルスに行って収録したりPVを録ったり懐かしい想い出がいっぱいあります。正直、心の底から解散したくなかったんですが、色々と大人の世界には事情があるんですよ。