ホテル峰の湯のお風呂は地元の人も入りにくる

羅臼町の散策でお腹を落ち着かせた後、立寄りで温泉にはいるため、国道334号を引き返すことにした。昨晩ウトロでホテルの温泉に入ったが、もう少し本格的な温泉を体験してみたかったからだ。国道334号沿い羅臼川のほとりには羅臼温泉があり、その先には「熊の湯」という原生林に囲まれた露天風呂がある。地元の漁師さんなどが入る共同浴場で、このあたりの温泉は温泉マニアもうならせる秘湯だという。当初そこに入ろうと思っていたが、今日は天候がいまひとつ。脱衣所が一応あるとはいえ、森の中の露天風呂には躊躇した。

「それなら手前にいいホテルがありますよ」と陽子さんが紹介してくれたのが「ホテル峰の湯」。温泉は天然の源泉かけ流し。内風呂の露天風呂もあり、日帰り入浴ができて料金は500円とリーズナブルだという。着いてみると、野生の鹿が歩き回っている環境なので、決してモダンではないものの親しみやすい風情のホテルだった。フロントでスリッパに履き替えて、お風呂に入ってみるとなんとも懐かしい雰囲気が残っていて、硫黄の香りで温泉気分がみなぎってくる。このお風呂は気持ちいい。しかも露天風呂のすぐ外には知床の原生林が迫っている。なかなかのロケーションだ。

垣根の向こうは知床の原生林。遠くでは鹿がのんびり歩いていた

温泉を満喫した後、ウトロ近くを観光しながら、女満別空港へ向かった。たった1泊2日の駆け足の旅だったが、思いのほか充実したものだった。この地で見たもの、いただいた料理、温泉、それらすべてが長く記憶に残るに違いない。とはいえ、まだまだ見足りないし、食べ足りない。近いうちに再訪することを誓って、女満別空港をあとにした。

ウトロ近くにあるオシンコシンの滝。滝の中程の高さまで横の階段で上がることができるので、迫力ある水の流れを間近に見ることができる

※なお、今回の道中、ウトロ-羅臼間で利用した国道334号は冬期間に通行止めとなる。