10周年を迎えた芝浦工大ロボットセミナー
7月18日(土)~20日(月・祝日)の3連休にパナソニックセンター東京で行われた「2009夏! ロボットサミット」。恥ずかしながらやり残した夏休みの宿題第2弾……ということで、遅れ馳せながら3日目のトークショーについてもレポートをお届けしたい。
ロボットクリエイターの高橋智隆氏、ロボット工業デザイナーの園山隆輔氏に続き、最終日に登場したのは、芝浦工業大学工学部(工学部長 工学部電気工学科)ヒューマン・ロボット・インタラクション研究室の水川真教授。同大学がモノ作りを担う人材育成の一環として開催してきた「ロボットセミナー」を事例に、ロボットを通じた工学教育についてトークが展開された。
水川教授はまず、ロボットセミナーについて簡単に説明し、10周年記念として2009年6月27日(日)に日本科学未来館みらいCANホールで開催された「東京ベイエリアロボフェスタ」でのスナップを披露。「昔から開発されてきたロボットと最新のロボットが並んだ貴重な写真」として紹介した。産総研の女性型ヒューマノイドロボット「HRP-4C」とその先行モデル「HRP-2」(モックアップ)と並んで写っているのは、映画「20世紀少年」にも登場した身長2メートル超の油圧駆動ロボット「ASSHY(アッシィ)」だ。芝浦工大システム工学部の准教授だった佐藤晟(あきら)氏が長年に渡って開発したもので、世界で最初に爪先の関節で蹴って歩く機構を導入したのが特徴だという。
水川氏と佐藤氏は共に、早稲田大学で世界初のヒューマノイドロボット「WABOT-1」を開発した権威、故・加藤一郎博士の研究室の出身なのだそうだ。
ここから話は本題へ。水川氏には、ものづくり教育を始めるにあたって常々考えていたことがあったと言う。
「企業でも大学でも、新人があまりにモノを知らず、道具も使えない。例えばドライバーも記号的にただ回して、軸方向に力をかけないと締まらない、ということが分からない。頭の中の知識だけで何でもやろうとするので、加減を知らずに物を壊してしまう。メーカーもそういうユーザーが増えていると感じていて、マニュアルも注意事項などが増えてどんどん分厚くなっている。要は皆がユーザー化してしまい、機械の中身はブラックボックス化している。キーボードを叩いて検索しておしまい、というのがほとんどで、実際に何かを作る、モノに具体化することができない」
国もこうした事態に危機感を抱き、このままでは国の産業基盤が作れないということで、平成12年(2000年)9月に公示が出され、これに基づいて、ものづくり教育が重視されるようになったと言う。