コンセプトは理解できるESC・Deleteキーの大型化
ThinkPad T400sでは、キーボードレイアウトが変更されている。ここも既存のThinkPadユーザーとしてはポイントだと思う。先に相違点をまとめておくと、まずESCキーおよびDeleteキーの大型化とこれに伴うファンクションキー等のレイアウト変更。つぎにキーとキーとの間のスペースを詰めた点。そしてウルトラナビのタッチパッド部分が大型化し、段差を無くし、マルチタッチに対応した点だ。
まずはESCキーとDeleteキーの大型化。そもそもDeleteキーの配置は各社まちまちな傾向だったほか、ESCキーの横にF1キーがあるキーボードも珍しいものではない。大型化されたことで、これまでよりも指を伸ばす具合が少なくて済むことは、物理的な意味でレノボが指摘したとおりメリットと感じられる。ThinkPadの過去を振り返れば、第6世代以降、Windowsキーが追加された時の方がよっぽど大きなレイアウト変更と言えるだろう。一般論としてはこのような書き方となる。
スリムデザインとともに、ThinkPad T400sの特徴を成しているのがキーボード面のレイアウト変更。とはいえESCキーとDeleteキーの大型化と、それによりF1~F12キーが詰まった点、Insertキーが左のブロックに移動した点と、大きく変更されているわけではない。あまり気になるほどではないのだが、例えば従来のThinkPadを併用する際には若干戸惑うところもあるだろう |
肝心なのは、ESCキーやDeleteキーの使用頻度がアプリケーションに依存したり個人差のあるものである点だ。例えば筆者の場合、試しにキーロガーで10,000タイプした際の使用頻度を確認したところ、Deleteキーは58回、ESCキーはわずか6回だった。こうなるとESCキーとDeleteキーが大型化されたところでメリットは受けられず、そもそも違和感が少なく感じて当然ということになる。つまり、この変更点に関しては、できるだけ自身の指で実機に触れて答えを出してみて欲しい。使用頻度が高くメリットと感じられる方、使用頻度が高いが違和感を覚える方、使用頻度が低く筆者のような無頓着派、使用頻度が低いが従来の配列にこだわる方、など感想が分かれるところだろう。
次にキーとキーとの間を詰まった点。ゴミの混入を抑えたデザインとのことで、ThinkPad X300とT400sとを並べてみると確かに間隔が詰まっていることがわかる。普段使いのキーボードには、タバコの灰や猫の毛などがよく混入していたのだが、それを防いでいる印象は受ける。一方でキーの間隔が詰まったことで、いざキーボード掃除の時にはこれまでのようにブラシでこするような大雑把な手段が使えなくなる(使いにくくなる)のではないだろうかと思う。なお、キーの間隔が詰まっても、キーを押した際の圧力、反発力などのフィーリングはThinkPadらしさが感じられる。筆者の印象としてはThinkPad T400/T500シリーズよりもX300シリーズに近く感じた。こうしたキーフィーリングも、店頭に並んだ際には試して欲しいポイントだ。
ThinkPad X300(左)とThinkPad T400s(右)を比較すると、ThinkPad T400sの方が確かにキーとキーとの間が詰まっている。こうなるとブラシで掃除するよりもエアダスターで吹き飛ばすのが良いだろうと思われる |
タッチパッド部分だが、まず段差に関してはよく分からなかった。……というよりも、これまでThinkPadを使っていて、あるいはレビューしていて、タッチパッド部分の段差に注意を払っていなかったことにあると思う。レノボによれば、液晶面への影響を考慮してとのことなのでフィーリングにはあまり影響無いのではないかと思う。また、ThinkPad T400sのタッチパッドには、表面に凸パターンが施されており、これによりパームレストとタッチパッドの領域の違いを感触で判断できる。また、この凸パターンがあることで、アクセントと言うのだろうか、デザイン的にも従来のThinkPadと"変わった"印象を受けた。
タッチパッドはマルチタッチにも対応している。レノボとしてはIdeaPadシリーズで既に対応しているが、ThinkPad T400sでも同様に2本の指を使ったピンチ、スクロール、ローテートといった操作が可能である。評価機では、Windows Picture and FAX Viewerでこれら操作を確認した。ThinkPad T400sではタッチパッドの面積も大きくなっており、例えばThinkPad X300では70×35mm程度だが、T400sでは75×45mmほどあり、窮屈さを感じることも無く、タッチパッドの操作感は良好だ。