業務用途に向けた性能傾向

最後に本製品のパフォーマンスを見ておきたい。比較には、同じNehalemアーキテクチャを採用したPC製品として、Core i7-920環境を用意。グラフィックスカードはGeForce 9600 GTを使用している。テストはPCMark05、3DMark06のほか、OpenGLベンチマークソフトのSPECviewperf、そして消費電力の比較を行っている。

■PCMark05
ThinkStation S20 Core i7-920
PCMark 9088 9756
CPU 8536 9227
Memory 7634 7916
Graphics 11292 12822
HDD 6651 6412
■3DMark06 (1280×1024ドット)
ThinkStation S20 Core i7-920
3DMark Score 9151 11212
SM2.0 Score 3704 4666
HDR/SM3.0 Score 3416 4312
CPU Score 4358 4463
■SPECviewperf 10 (64bit QuadCore Test)
ThinkStation S20 Core i7-920
3dsmax-04 130.21 10.71
catia-02 89.71 12.01
maya-02 150.71 29.32
proe-04 11.36 6.77
sw-01 158.63 18.73
tcvis-01 8.04 3.80
■消費電力
ThinkStation S20 Core i7-920
アイドル 76 127
ピーク 146 237

さすがにコアクロックの差もある環境なので、全般にCore i7-920環境のスコアが高い。ただし、OpenGLのベンチマークであるSPECviewperfはThinkStationが圧勝している。これはQuadroのドライバが、SPECviewperfのテストに含まれるようなOpenGLアプリケーションの描画に最適化されている結果だ。こうした3Dグラフィックツールにおいて高性能が求められる業務においては、一般的なPCの数倍から数十倍に達する性能差を得られることになる。

また、消費電力がかなり低いことも気に留まる。アイドル時で50W程度、ピーク時は90W程度の差が付いている。PCMark05や3DMark06では確かにCore i7-920環境のほうが良い結果を出しているものの、その性能差を上回る低消費電力という魅力をThinkStation S20は持っている印象を受けるほどだ。使用電力量の削減は企業の一つの義務とも言われる昨今。こうした魅力はポイントが高いのではないだろうか。

堅牢性、信頼性、低消費電力性という三つのポイントをしっかり押さえた本製品。新型Xeonの搭載やCUDA対応のQuadroなど、次の世代のトレンドとなり得るアーキテクチャを盛り込んでいる点で性能面でも魅力が高い。企業がワークステーションに求めるファクターを高いレベルで持ち合わせた製品といえる。

■レビュー機の仕様
CPU Intel Xeon E5530(2.40GHz)
チップセット Intel X58 Express
メモリ 2GB
HDD 250GB
光学ドライブ DVDスーパーマルチ
グラフィックス NVIDIA Quadro FX1800
ディスプレイ なし
ネットワーク 10/100/1000BASE-T
インタフェース USB 2.0×10(フロント×2/バックパネル×8)、eSATA×1、20-in-1メモリカードリーダ、サウンドin/outなど
拡張スロット PCI Express x16×2(空き1)、PCI Express x4×1(物理x16スロット)、PCI Express x1×1、PCI×1(空き0)
サイズ/重量 W175×D460×H478mm/約16.33kg(最大構成)
OS Windows Vista Business SP1