進化した銃撃アクション
~シリーズ最高峰の銃撃カタルシス~
本作のメインの敵は、ゾンビではなく「プラーガ」と呼ばれる寄生生物を改良し、人間に植えつけたもの。「プラーガ」を植え付けられた人間は驚くべき身体能力と凶暴性を獲得し、社会性昆虫のようにリーダーの命令に従順に従うようになる。このプラーガによって凶暴化させられたモンスター人間は「マジニ」と呼ばれる。「バイオハザード」シリーズでお馴染みの生ける屍「ゾンビ」とは違って、本当に"生きている"ので、速く、そして狡猾な動きでプレイヤーに襲いかかってくる。
本作では、攻撃判定が部位単位で行われているようで、ちゃんと着弾した部位に衝撃を受けてのけぞるリアクションがとてもリアル。頭部を撃ち抜くと大ダメージを与えられるが、バカのひとつ覚えのようにそればかりをやっていると、ごくまれに寄生していたプラーガが頭部を突き破って姿を現し、さらに凶暴性を増して襲いかかってくる場合があるので注意したい。また、PS3、Xbox 360向けのタイトルらしく、流行の集団表現も実装している。敵が一度に大量に攻めてくることも多く、その様子たるや、狂気の群衆が押し寄せてくるという感じで、弾を撃ち尽くしてリロードしている無防備な瞬間がとてもスリリングだ。
『バイオハザード5』は決して3Dシューティングゲームではないが、シリーズ中、もっとも銃撃戦に重きが置かれたゲームであることは間違いない。プレイヤーは物陰に身を潜めて敵の攻撃の切れ目を狙って反撃したり、仕掛けておいた地雷トラップに誘導して敵を一網打尽にできたり……といったTPS的なゲーム性が色濃く盛り込まれている。このあたりがバイオハザードらしくないという意見もあるようだが、筆者は本作の雰囲気にマッチしているので「よい進化」として捉えている。
そして、この銃撃戦を盛り上げてくれるのは、登場する武器の種類の多さ。ゲーム中、手に入れたお金や宝物などの金品を元手にして新しい武器を購入したり、あるいは手持ちの銃器の性能強化ができたりもする。武器によっては攻撃を命中させたときに、敵が特有のリアクションを見せてくれたりするのも楽しい。筆者のお気に入りは「バイオハザード」シリーズの代名詞的な強力銃器「グレネードランチャー」。それも硫酸弾。命中すれば比較的広範囲にダメージを与えられ、硫酸にうろたえる敵のリアクションが面白い。
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