広いファインダーと高速なオートフォーカス
フルサイズ機は広いファインダーが魅力だ。5D Mk2のファインダーの画角は、実測で29.2度と、ソニーα900の30.8度には及ばなかったが、これまでテストを行なってきたカメラの中ではトップクラスの広さだった(EOS-1Ds Mark IIIは未計測)。しかし、5D Mk2に限らないが、35mm版フルサイズ機はAFポイントが中央に寄ってしまっている。技術的に難しいのかもしれないが、フルサイズの広い画角を活かした配置のAFセンサーを開発してもらいたいところだ。
なお今回から、オートフォーカステストを従来のものから変更している。ターゲットの数をこれまでの6種類から3種類に減らし、代わりに中央の測距点だけでなく、左端の測距点を使用している。照明の明るさはEV5とEV1で、計9回、合焦するまでの時間を計測した。なお、計測時間にはレリーズタイムラグも含まれている。「シャッター切れず」は、フォーカスが合わず撮影できなかったということを示している。
テスト結果は、オートフォーカスは通常撮影時(EV5)、中央固定では平均0.7秒、EV1でも1.1秒と非常に速い。左端のAFポイント+斜線ターゲットは合焦しなかったが、これは他のカメラでもよくあることだ。それでも中央のAFポイントよりシンプルな左端のポイントでも、EV5で0.9秒、EV1で1.0秒なのだから、十分に速いといえる。これだけの速度があれば、ほとんどのケースでストレスを感じずに撮影ができるだろう。
ISO 1600まで常用できる高感度ノイズ
高感度ノイズはどうだろうか。「高感度ノイズ低減・標準」設定でISO 1600まではほとんど問題なく撮影できるだろう。ISO 3200で色ノイズが発生し、ISO 6400、H1(ISO 12800)、H2(ISO 25600)と感度を上げるにつれて色ノイズや粒状感が増してくる。増感域はよほどの状況を除き、使わないほうがいいだろう。「高感度ノイズ低減」には「標準」「しない」「弱め」「強め」の4つから選択可能で、初期状態では「標準」に設定される。各設定の違いは、約1段分程度のノイズ低減が掛けられているようだ。
キヤノンのカメラでは、「EOS 20D」のころからノイズレスといわれるほどノイズを消す傾向が強かったが、一方ではなにか色を塗ったような絵作りだともいわれてきた。しかし、5D Mk2ではノイズの消しかたがきれいになり、写真のディティールもちゃんと残している。また、消されずに残ったノイズも、粒状感と表現できるようなノイズになってきたように感じられる。他社で高感度ノイズ処理のうまい機種も出てきているが、2110万画素という高画素なら、もっとノイズは多いと思っていたが、予想よりも少なく、正直驚いた。
高感度ノイズ低減は、4段階の設定から選べる |
ISO感度を変更して撮影。ノイズの発生を調べた。赤枠の部分を切り抜いてある。[EF24-105mm L IS USM / L+Fine(JPEG) / 105mm / プログラムAE / WB:オート / PS:スタンダード] |