wUbi-Pen : Windows Graphical User Interface Interacting with Haptic Feedback Stylus~次世代タッチペンはフォースフィードバック付き

今、一番身近なタッチペンデバイスといえばニンテンドーDSだろうか。あるいはタブレットPC、PDAなどもタッチペンをインタフェースとした機器としては認知度が高いといえるかもしれない。

タッチペンデバイスの魅力は、画面に対して直接ペン型のデバイスでポインティングして使えるという直感的な使い心地にある。これはもちろん人間が「紙に物を書く」という基本的な動作に最も近い形でコンピュータに接することができるところが利点になっている。

ただ、画面上にタッチペンを走らせても、ツルツルと画面の上をペンが滑るような感覚が不自然と感じることもある。実際に画面上のボタンを押しているのか、実際に画面のオブジェクトを選択できたのか、ドラッグできているのか……。マウスだと気にならない操作系が、タッチペンの操作系だと頭の中で「紙に物を書いている」という動作とダブらせてしまうため、タッチペンの無反応さに違和感を覚えてしまうのだ。

これを改善しようとして韓国電子通信研究院が発表したのが「wUbi-Pen」だ。wUbi-Penは現行のタブレットシステム(タッチペンシステム)に大きな改変を加えることなく、タッチペンに手軽にフォースフィードバックをする仕組みを実装させる技術。

写真上は市販のタブレット機能付きPC。下がwUbi-Pen。試作機のためにちょっとまだ大きい

wUbi-Penの内部構造。今回のデモでは用いられていなかったが小型スピーカと小型マイクも搭載されている

wUbi-Penには衝撃を生成するインパクトジェネレータと小型モータによるバイブレータが実装されており、これがペンへのフォースフィードバックを作り出す。Bluetoothモジュールも実装され、これはホストPC側のドライバとの通信に使用される。電池はリチウムイオンを採用。

動作の仕組みは意外にシンプル。

ペンでボタンを押したり、何かをドラッグしたり、あるいはペイントソフトならば線のエッジやテクスチャ模様の色の変化に応じて……など様々なイベントを把握したときにドライバソフトが振動や衝撃を作り出す命令をBluetoothで飛ばす。wUbi-Penはこれを受けてフォースフィードバック機構を作動させる。

実際に使ってみたが、ペンでの文字選択操作は文字があるところではジジジと振動が来て、文字の切れ目になると振動が止まるので、単語選択の始点と終点の範囲設定が正確に行えるのが心地よかった。ペイントソフトでは線描画時の始点や終点を決める際、元から描いてある画像のエッジの手応えが来るのでドット単位の描画が行いやすい。一般的なアプリケーションでも、ボタンやメニューにフォーカスしたときに振動が来るので選択したという実感が伝わってくる。

メモ帳での文字選択の様子。文字があるところは振動が来る

ベクトルグラフィックスを操作しているところ。線分に触れた感覚とドラッグ感が伝わってくる

マウス操作の場合でもクリック音を利用することでこれに近い効果が既に得られるが、音を出せない状況下では、やはりwUbi-Penの方法の方が汎用性は高いといえる。

担当者によれば、現在は試作レベルだが、商品化の折にはシステム価格としてUS$50程度には出来ると自信を見せていた。HAPTICSデバイスというには機能を絞りすぎている感はあるが、現状のGUIを現実的により使い易くする……という方策としては商品化の可能性の高さはあると感じる。

タブレットによるグラフィックス描画時にも紙っぽい手応えを作り出せる