4つめは「販売国の拡大」。iPhone 3Gは、7月11日に日本と米国を含む22カ国で発売され、さらに年内に70カ国以上に拡大するという。基調講演では日本語キーボードや中国語漢字の手書き入力が紹介された。App Storeでのアプリケーション販売はグローバルに行えるということなので、iPhoneの販売地域の拡大は開発者がワールドワイドに展開するチャンスにつながる。
最後のポイントは「より手頃な価格」だ。初代iPhone(8GB)は599ドルで発売され、現在399ドルである。1年弱で200ドル値下げされたが、それでも「iPhoneをなぜ購入しないか?」という質問の1位は「高いから(56%)」だという。これに応えた価格が「8GBモデル 199ドル」「16GBモデル 299ドル」である。さすがに、この価格がドンと発表された時には会場がどよめいた。"現在"米国でiPod touchの8GBモデルが299ドル、16GBモデルが399ドルなのだから当然だろう。
AT&Tがレベニューシェアリングを廃止
ただし、199ドル/299ドルという価格は2年契約で加入した場合だ。iPhone 3G発表にあわせて米国の独占キャリアであるAT&Tが明らかにした同端末用のサービスプランは、無制限のデータ利用が月額30ドル、音声利用が月額39.99ドルからとなっている。これは現行のiPhone向けデータサービスの月額20ドルから10ドルの値上げとなる。またAT&Tは、現在のAppleとの契約を見直し、iPhone 3Gでは通信料収入の一部をAppleに支払う「レベニューシェアリング・モデル」を廃止するとした。
本体価格は199ドルだが、ユーザーは2年間で現行のiPhone向けサービスよりも、値上げ分10ドル×24カ月で240ドルを多く支払うことになる。それでも3Gサービスへのアップグレード、端末の機能向上などを考えると、総体的にはよりお得になった印象を受ける。レベニューシェアリング・モデル下では、端末を通信キャリアからのしばりを受けずに購入できるというメリットがあったが、より多くの人に届けるには2年間のしばりがあっても、より安くというところに落ち着いたようだ。
なお新契約後もAT&Tの米国における独占販売は維持されるという。
バックグラウンド動作を避ける新サービス
iPhone SDKの新しい話題としては「Push Notification Service」が明らかにされた。同SDKでは、アプリケーションのバックグラウンド動作が認められていないため、例えばインスタントメッセンジャーなどでプレゼンスを適切に示し、メッセージに対応するのが難しかった。バックグラウンド・プロセスが行われると、バッテリーが消耗し、全体のパフォーマンス低下にもつながるというのが理由だ。そこでAppleは、サードパーティのサーバーとiPhoneの間にApple Push Notification Serviceを置き、サードパーティからのメッセージを同サービスに一旦まとめてから適時iPhoneにプッシュする仕組みを設ける。SMSを受信するのに近く、iPhoneの負担を増すことなく複数のアプリケーションに対応できる。提供開始は9月になる予定だ。