「仕上がり」のモードで色は変わるが絵づくりは変わらない
E-420のカラーモードである「仕上がり」は、E-3と同じく5種類が用意される。鮮やかな「ビビッド(VIVID)」、標準で選択される「ナチュラル(NATURAL)」、素材性を重視した「フラット(FLAT)」、肌色をきれいにする「ポートレート(PORTRAIT)」、白黒写真になる「モノトーン」だ。モノトーンではフィルター効果やセピア調などの調色も可能になる。
標準は「ナチュラル」だが、それに対して「ビビッド」では補色が減って鮮やかさが増す。例えば赤い部分なら緑や青が抑えられるわけだ。「フラット」は逆に補色が増えるが、赤い部分に緑成分はあまり増えず、青っぽくなる傾向がある。「ポートレート」では赤が鮮やかになり、緑成分が増えて黄寄りになる。人肌が青く汚れて見えるのを避けるためだろう。
といったように各モードで色はずいぶん異なるが、主に鮮やかさや色の傾向が変わる感じで、絵づくりそのものが変わってしまうような変化ではない。使い方はその名称のとおり、「ポートレート」は人物撮影と割り切って、「ナチュラル」を中心に、「ビビッド」と「フラット」をシーンによって使い分けることになるだろう。「ビビッド」でもE-3のように鮮やかすぎることはないようだ。
「仕上がり」による変化。中央は「VIVID」、右が「NATURAL](標準) |
彩度の高い被写体を撮影し、○の部分のヒストグラムを比べたのが右の図。各モードでの色の与え方の違いがわかる |
効果の高い「階調」機能
E-3から搭載された機能のひとつが「階調」機能の「オート」だ。画像を部分ごとに調整する機能で、白飛びや黒つぶれを抑える働きをする。試してみたところ、白飛び・黒つぶれの両方に効果があるが、特に暗部を持ち上げる効果のほうが大きいように感じられた。また、「オート」は見方を変えればコントラストを低くする機能でもある。シーンによってはメリハリが不足するように感じることもあるだろう。やはり普段は「標準」にしておき、暗い部分をもっと出したいといった場合に「オート」に切り替えるのがいい。いつでもスーパーコンパネから簡単に変更できる。
もともとオリンパスの「階調」は、「ハイキー」「ローキー」といった表現を変える機能だった。引き続きE-420も搭載しているが、これがけっこう楽しい。簡単に絵の雰囲気が変えられる。単に露出を変えるだけでは同じ絵にならないところをみると、トーンカーブもいじっているようだ。
また、これら「階調」機能は画像を処理するだけでなく、露出も同時にコントロールしている。試しにプログラムAEとマニュアル露出で比較したところ、マニュアルのほうが効果が少なくなった。この機能を十分に働かせたいなら、プログラムAEで撮影するなど、ある程度カメラに露出をまかせたほうがいい。
「階調」を変えて撮影。左から順に「標準」「オート」「ハイキー」「ローキー」 |
広角で「階調」を変えて撮影。左から順に「標準」「オート」「ハイキー」「ローキー」。露出も変化している |
黄色傾向の絵だが、旧オリンパスではない
E-420の絵づくり全体について。E-3の絵は従来のE-410/E-510から大きく変ったが、E-420はその中間としたようだ。E-420の色の持たせ方はE-3とほとんど同じだが、明るさに対する明度の持たせ方はE-410/E-510に近い。下の「ダイナミックレンジ」のグラフで、カーブが明るい側(左側)で大きく上下に開いているのはE-410/E-510によく似ているが、シアンとマゼンタの関係はE-3にほぼ同じだ。
実際にどうなるかというと、基本的にメリハリのはっきりした鮮やかな絵でありながら、E-3ほど青が強くはない。むしろ全体に黄色っぽい絵に見える。従来のオリンパスの赤みとは異なるが、同じ傾向と言えなくもない。おもしろいところへ持ってきたと思う。
ただ、従来のオリンパスの絵のようなふわっとした感じにはならない。あれこれ見比べていたところ、E-3の絵から青を抑えたような絵になっていることに気づいた。確かにE-3は青が強かったが、他の色も強いのでそこそこバランスは取れている。もしE-420の絵が黄色っぽく感じたら、レタッチソフトで少し青を加えてみよう。ニュートラルに戻ってくるはずだ。