位相差式なのに見ながらピントが合うハイブリットAF
E-420のライブビューは、現状の一眼レフの中ではもっとも完成度が高いとしていいだろう。通常撮影とライブビューの切り替えはモニター脇のライブビューボタンを押すだけ。すぐさま表示が切り替わり、ライブビューへ移行する。この状態で電源を落としても、次の電源オンではライブビューで起動する。メニューを操作しても、終了すればちゃんとライブビューに戻る。当たり前のことだが、たったこれだけのことができないカメラがほとんどなのだ。
ライブビューでのオートフォーカス方式は、通常の光学ファインダー撮影と同じAFユニットを使う位相差式(全押しAF)と、撮像素子を使うコントラスト検出(イメージャーAF)、そして両方を使う「ハイブリットAF」の3種類が用意されている。
位相差式では光学ファインダーと同じ横並び3点のAFポイントがモニターに表示される。ただしシャッター半押しではオートフォーカスは動かず、[AEL/AFL]ボタンでフォーカスを合わせ、その後シャッター全押しで撮影となる。位相差式のオートフォーカスが駆動している間はミラーが下がっている(像が写らない)わけだが、表示は完全にはブラックアウトせず、暗い網をかけたような像を見せている。これは心理的にはとてもありがたい。
シャッターボタン半押しでピントを合わせたい、ピント合わせの最中にもしっかり像を見たいというなら「ハイブリットAF」がいい。これはライブビュー中はコントラスト検出でおおよそのピントを合わせ、リレーズ時に位相差式で完全に合わせて撮影する方式。とても便利、というか、むしろ単純な位相差式AFは不要ではないかと思えた。測距点は3点のままだが、モニターに像が見えたままピントが合わせられるので、単純な位相差式よりストレスはずいぶん少ない。
ちなみにレリーズ時のシャッター(ミラー)音は、光学ファインダー使用時はミラーが下がった状態から1回跳ね上げるだけなので、音も1回しかしない。ライブビュー時はAF方式にかかわらず2回音がする。といってもそれほど重苦しい感じはしない。ミラーやシャッターが小型に収まるフォーサーズということもあるのだろう。よく調教できている。
コントラスト検出のAFポイントは11点以上
さてコントラスト検出AFだ。像を見ながらピントが合わせられることはもちろん、AFポイントも自由になるし、ホワイトバランスやカラーモード(仕上がり)も撮影前に反映できるなどメリットは多い。E-420でライブビューの標準AF方式になっているだけのことはある。
AFポイントは上から3-4-3個のブロックが並ぶ11点。通常撮影と同じように、スーパーコンパネから「AFターゲット」を選択すれば、十字ボタンで自由に移動できる。ちなみにライブビュー状態ではスーパーコンパネは表示されていないが、[OK]ボタンで半透明のスーパーコンパネが浮き上がる。よくできている。
しかし、コントラスト検出では11点どころか、さらに自由にAFポイントを指定することもできる。ライブビュー状態で[INFO]ボタンを何度か押すと拡大表示枠に切り替わるが、これにすると、11点のAFポイントのブロックよりも小さく、モニターのどこへでも自由に移動できる枠が現れる。ピント合わせもこの小さな枠に対して行なわれるのだ。マクロ撮影を想定した機能のようだが、それ以外の撮影でも役に立つはずだ。
ただ、[INFO]ボタンによる切り替えは、撮影情報やヒストグラム、罫線などの表示の切り替えが中心。そこにピンポイントなフォーカスが可能になる拡大表示が含まれているのがちょっと不思議だ。11点のAFポイントと並列で並ぶような切り替えが欲しいと思った。
コントラスト検出のAF速度はごく普通。よくできたコンパクト機ぐらいには速い。遠くまでフォーカスが動く場合はそれなりに時間がかかるが、近い場所であればストレスもたまらない。またAFポイント11点すべてを使う自動選択では背景にピントを取られることもあったが、位置を指定してやればほとんど迷うこともなく合焦した。このあたりは信頼していい。