Phenom X4 9850をオーバークロックしてみる
※ご注意:オーバークロックはCPU、マザーボードおよびその他パーツに重大な影響を与える可能性があります。オーバークロックに関して編集部および筆者は責任を負いません。くれぐれも自己責任でお試しください。なお結果は今回のテスト環境下でのものであり、そのクロック周波数での確実な動作や、実際の製品で同じベンチマークスコアが得られることを保証するものではありませんので、あらかじめご了承ください。
もうひとつ、B3リビジョンのPhenom X4 9850を使ってオーバークロックを試してみた。使用したマザーボードはGIGABYTE「GA-MA78GM-S2H」で、マイクロATXで4フェーズ電源回路と、こういった使い方にはやや心許ない。さすがに海外サイトなどで報告されているほどには高クロック動作を実現できなかったが、それでもCPUクロック倍率で14倍の2.8GHzまで動作させることができた(3GHzは起動こそするものの、PCMark VantageにおけるGamingテスト中にシステムエラーを生じるため完走とは判定しなかった)。
確かにリビジョンが上がったぶん、オーバークロック耐性は高まっているようだ。もちろんCPUには個体差があるほか、それ以前にオーバークロックは自己責任である点はふまえたうえだが、B3リビジョンのPhenomは、X4、X3ともに空冷3GHzが目指せそうなCPUではある。
それでは、このPhenom X4 9850の2.8GHzと、Phenom X3 8750をオーバークロック検証した際に計測した各スコアとを並べて紹介しよう。
まずはSandraの結果から。Sandraの各テストのスコアはおもしろいようにきれいに並んだ。もちろん、2.8GHzにクロックアップしたPhenom X4 9850はかなり良いスコアを出している。しかし注目してほしいのはPhenom X3 8750の3GHzとPhenom X4 9750相当との差である。思ったほどには大きな差ではない。逆にPhenom X3 8750の2.8GHzとの差から逆算すると、おそらくPhenom X3 8750を3.2GHz駆動させることができれば逆転するのではないだろうか。なお、グラフ16はCache and Memoryテストの結果だ。Phenom X4とX3のラインの形は、大枠では同じ傾向だが、2kB~8kB、512kBのあたりのように若干異なる箇所もある。
グラフ17はCINEBENCH R10。マルチスレッドが有効なアプリケーションにおいては、Phenom X3 8750の3GHzとPhenom X4 9750相当との間に明確な差が現われる。
PCMark Vantageはスコアがブレやすい傾向ではあるが、今回もCommunicationsとHDDの両テストでバタついてしまい、Overallは参考程度にとどめて欲しい。ただし、それ以外においては、PCMark Vantageの傾向が見て取れる。例えば、クロックが影響していそうなものが、MusicやProductivity、GamingやTV and Moviesはさらにマルチスレッド性能が要求されていそうである。
グラフ19は、3DMark06の標準解像度(SXGA)でのOverallとCPU Testのスコアを表したものだ。
総括してみると、意外とPhenom X3 8750を3GHzにクロックアップしたものが健闘をみせているが、やはりPhenom X4 9850のオーバークロックには敵わないようだ。