B3リビジョンの意義 - Phenom X4 9800(相当)と比較してみる

前回のPhenom X3のレビュー同様、ここからは別の趣向でPhenom X4 9850をテストしていきたい。今回試したものは、B2リビジョンのPhenom向けとされるTLBパッチ回避のためのツールだ。B2リビジョンPhenomでは、BIOS設定にてTLBの使用を中止させることでエラッタによる障害を回避させることができる。しかしベンチマークスコアを下げないために等の理由から、あえてTLBを有効にしておきたい場合もある。そのような状態で、Windows VistaにSP1を充てると、どうもBIOS設定に係わらずTLBが無効になってしまうらしいのだ。その問題の回避のために有志が作成したのが「Phenom_TLB_Disable.exe」である。

このツールには2つの実行ファイルが含まれる。ひとつはPhenom_TLB_Disable.exeで、上記のように"TLBを強制利用する"もの。もうひとつはPhenom_TLB_Enable.exeで、先のPhenom_TLB_Disable.exeの動作を確認するためものであり、TLBの利用を無効化する。TLBエラッタが解消されたB3リビジョンのPhenom X4 9850を用い、これとPhenom_TLB_Enable.exeを組み合わせてみたところ、スコアに差が生じた。断定はできないがPhenom_TLB_Enable.exeによってB3リビジョンでもTLBの利用が無効化されたものとみられる。その際のスコアを簡単に紹介しよう。

グラフ8 : Sandra XII (CPU Benchmark)

グラフ8はSandraのCPU関連ベンチマークのスコアだ。このテストにおいては両者に全く差は無い。

グラフ9 : CINEBENCH R10

グラフ10 : PCMark Vantage

グラフ11 : SYSMark 2007 Preview

グラフ9~11はアプリケーション系のベンチマーク。先のSandraとは異なり、どれも2つの間に誤差とは言い切れない差が生じている。

グラフ12 : 3DMark06

グラフ13 : 3DMark06 (CPU Score)

グラフ12と13は3DMark06のスコアだ。わずかな差ではあるが、3DMark06でも両者には差が生じているのが確認できる。