ホイールダイヤルが中心のシンプル操作系
F100fdの背面の操作系は、モードダイヤルを廃止し、ホイールダイヤルを採用した。Zシリーズのフラッグシップモデル「FinePix Z100fd」とほぼ同じになっている。このホイールダイヤルにより1コマ表示の高速再生が可能になった。ホイールを回すと次々に再生画像が送られていくのだが、この高速再生はちょっとすごい。まるでコマ送りの動画を見ているくらい滑らかに画面が切り替わる。しかし、ホイールダイヤルのメリットはこの高速再生くらいしか見あたらず、モードダイヤルを廃したことで、メニューに全ての設定やモード切り替えが詰め込まれてしまった。そのため操作がかなり難解になっている。
例えばF50fdのモードダイヤルは、フルオート撮影の「オート」、露出補正やホワイトバランスを変更できる「マニュアル」、「絞り/シャッタースピード優先AE」、撮影シーンに応じて適切な設定を行なう「シーンポジション(SP)1・2」など8種類のモードが用意されている。「風景」や「人物」、「花火」といったシーンモードは、シーンポジションのメニュー画面から設定するようになっていた。しかしF100fdのメニュー画面には、「オート」「マニュアル」といったF50fdでのモードダイヤルの項目と、「風景」「人物」などのシーンポジションが同列に並べられている。つまり自分の捜したいメニューを探すときは、20個以上の項目から探さなければならない。これはかなり面倒で時間がかかってしまう。
露出補正をもっと使いやすく
いちばん気になったのは、いつも使用する露出補正の手順が多すぎること。たとえば「マニュアル」モードの場合、メニューボタンを押す【写真1】→ひとつ上の「MENU」を選ぶ【写真2】→MENUボタンを押す(決定)→露出補正を選ぶ【写真3】→補正値を選ぶ【写真4】→MENUボタンを押す(決定)、といったように6回もボタン操作が必要なのだ。露出をばらして撮影したい場合、ブラケティング機能を搭載していないので、この操作を何度も繰り返すことになる。またホワイトバランス、連写、測光についても同様の操作となる。
F50fdは十字キーの上ボタンに露出補正が割り当てられていたのでとても使いやすかった。F100fdのホールダイヤルの上ボタンには手ブレ補正機能が割り当ててあるが、手ブレ補正をオフにする状態なんてめったにないのだから、従来通り露出補正を割り当てて欲しかった。また、顔認識も独立したボタンを持っているが、専用ボタンを持たせる必要があったのだろうか。使用頻度の高い機能を集めた「F(フォトモード)」ボタンがあるのだから、ここに入れてもいいと思うし、せめてFボタンに露出補正があれば……と思ってしまう。ちなみにFボタンで設定できるのは、「ISO感度」、「ダイナミックレンジ」、バッテリーの消費設定の「パフォーマンス」、記録画素サイズの「ピクセル」、カラーモードの「FinePixカラー」の5種類。
F100fdの発表会では、F100fdは30代ファミリーから60代シニア層までをターゲットにした"自分用の画質志向カメラ"、F50fdは家族でカメラを共有するファミリー層向けの"思い出カメラ"と位置づけていた。しかしF50fdのほうが素早い露出補正や「絞り・シャッタースピード優先AE」モードなども備えていて、撮影者の意図を反映しやすい写真愛好家のサブカメラで、フルオート撮影が基本になるF100fdのほうが思い出撮りにふさわしいカメラだと思う。
最近のコンパクトカメラはフルオートでもきれいに撮れるよう、様々な機能が搭載されている。ハード面のハードルが低くなったことは素晴らしと思う。一番多く撮影する被写体は人物なので、「顔認識機能」はとても理にかなったデジタルらしい機能だと思うし、とくに富士フイルムの顔認識機能「顔キレイナビ」は、他メーカーと比べても精度はかなり高い。しかし人物以外の被写体を逆光で撮るときはどうすればいいのか? そう考えるとフルオート撮影でも露出補正は必要だろう。ホイールダイヤルはとても使いやすく操作性は向上しているので、もうすこしわかりやすい操作体系を作ってもらえるとより多くの人にとって使いやすいカメラになると思った。