まとめ

デュアルコアと比較して、クロックが影響するテストではやや低いスコアだが、マルチスレッド系のテストではコアがひとつ多いなりのスコアがキチンと出る。クアッドコアと比較すればおよそコアひとつぶん低いスコアだが、マルチスレッドとシングルスレッドが交錯する一般的な環境ではクロック相応とはいえ期待以上のスコアがでることもある。そういう意味では予想どおりのCPUであり、実際のアプリケーション実行環境ではバランスの良さも伺える。

そして好感触なのが消費電力面だ。Phenom X4と比べコアひとつぶん少ない点が、メインストリーム層にとってのPhenom X4の弱点を補っているようにも思える。リテール向けにはB3リビジョンという選択も、自作ユーザーの懸念を払拭できるものとして歓迎したい。

AMD CPUでベンチマークのトップを狙うならばPhenom X4というのは変わらない。ただ、Phenom X4 9850や9750は、その消費電力ゆえにコストを追求したタイプのAMD 780Gマザーボードでは動作が厳しいし、場合によってはノンサポートだったりもする。Phenom X4のいくつかのモデルはメインストリーム向けの価格帯と言えなくもないが、シリーズ自体は実質的にはハイエンド製品だ。AMD 780Gなどのメインストリーム向けマザーボードと組み合わせるには、Phenom X4の下位モデルでも勿論いいのだが、Athlon X2、そして今回のPhenom X3を考えた方がよりコストと性能のバランスがとれそうにも見える。