3月13日、世紀の大事業と言われた青函トンネルは開業から20周年を迎える。これを記念してJR北海道は9日、青函トンネルの海底部分23.3kmを歩いて渡ろうというツアーを開催した。

青函トンネルの構想自体は戦前からあったとされるが、いつからあったのかは判然としない。記録に残るのは、昭和21年に地質調査が開始されたというもの。その後、昭和29年に青函連絡船の大規模な転覆事故が起こり、青函トンネル構想は一気に実現へと向かう。

昭和39年に北海道側から掘削を開始。昭和46年に本工事着手。同60年に本坑開通し、約24年もの歳月をかけて同62年に完成した。この間に工事に携わった作業員は延べ1,400万人にも上り、うち34人が殉職している。総工事費は約6,900億円で、「昭和の三大バカ査定」「世界三大無用の長物」と揶揄された。

だが昭和63年3月13日に営業開始した青函トンネルはこれまでの20年間で4,000万人を超す旅客を運んでおり、本州と北海道を結ぶ主要で安定的な交通手段として欠かせない施設となっている。さらに北海道新幹線が青函トンネルを通ることもすでに決定しており、青函トンネルが果たす役割は今後いよいよ大きなものになる。

そんな節目の年に開催された「青函トンネル探検ツアー」に編集部記者が参加した。このツアーは列車に乗って本州側の竜飛海底駅に降り、そこから北海道側の吉岡斜坑までの海底部分約23.3kmを歩き通すというもの。普段運動もせずに、パソコンの画面を睨んでキーボードを打ってばかりいる私には、ハーフマラソンにも匹敵するこの距離はかなり無茶な話である。そもそも、当初は23.3kmも歩くことを理解しておらず、普段は人が入ることのできない青函トンネル内に入れるんだなあと単純にわくわくしていた。いい取材が入ったと喜んでいたのだ。その考えがちょっと甘かったことを後で知る。