一人称視点で行く近代戦ツアー
「コール オブ デューティ」シリーズは1・2・3と第二次世界大戦(オフィシャルサイトでは第二"時"世界大戦と書かれている!)を取り扱ったもので、有名な戦争上の史実を一人称体験するというテーマで製作されていた。ところが、COD4では、方向性を変え、サブタイトルに「モダン・ウォーフェア」とあるように近代戦を取り扱ったものになっている。COD1・2・3は歴史的事実をモチーフにしていたわけだが、COD4では、いろいろとタブーな事情もあるからか、基盤となるストーリーは「リアルなフィクション」というコンセプトに変更されている。
こいつがロシアのクレイジーな武器商人Imran Zakhaev。ちなみに、この顔はリアルタイムレンダリングによるもの |
中近東某国の国際テロリストKahled Al-Asad。これは大統領を暗殺するシーンから。フィクションとはいえショッキングな映像 |
アルゼンチン紛争、チェチェン紛争、イラク戦争……など、いろいろとテーマはあるのだが、エンタテインメントにするにはまだまだタブーということなのだろう。そこでCOD4は、ロシアの架空のクレイジーな武器商人が、中近東のテロリスト幹部と結託して西側欧米諸国に対して国際テロ紛争をおっぱじめた……という……なんというか、かなーり、ジェームス・ボンドチックなフィクションストーリーになっている。「武器商人」「テロリスト」という二大悪玉を敵に添えたことで、リアルでありながら"角が立たない"ものとしたわけだ。
「現代戦をテーマにしたとはいえ、それってCODシリーズじゃないよ」というファンからの反発もあったようだが、憂う事なかれ。これが意外なほどによくできている。いうなれば、"良い意味"でストーリーラインや設定は"後付け"という感じで、戦場のロケーションやゲームプレイのシチュエーションにバリエーションが与えられており、ゲームプレイとしては非のうち所がないくらいなのだ。
チュートリアルが終わったあとに送り込まれるのは、大量破壊兵器を運搬中のテロリストの輸送船。それも嵐で豪雨が降り注ぐ夜の海上に出撃し、Price小隊だけで輸送船に潜入するという過酷な任務だ。無事テロリストを撃退し、大量破壊兵器の情報も回収して任務完了!……と思いきや、やけっぱちになったテロリストがこの輸送船を沈めようと画策しちゃったもんで、いきなりタイタニックのラストみたいな沈没船からの脱出劇に。ステージ1だけで、映画一本分のドラマ性が詰め込まれているし、これがゲームプレイとして楽しく、よくまとまっているのだ。
中近東のテロリストの掃討作戦のように武装ヘリに乗って眼下のテロリストを撃ちまくり……という空対地戦もあるし、全身枯れ草みたいなものを生やした偽装スーツに身を包んでのスニーキングアクション的な狙撃任務もある。もう、ステージごとに別のゲームなんじゃないかというくらい、ロケーションとシチュエーションのバリエーションが豊富。シングルプレイモードのステージは全部で20個くらいあるので一日1ステージでも相当楽しめるはず。
筆者のお気に入りは、任務を終えて帰路につくこちらを、敵兵を乗せたトラックが追っかけて来るというステージ。カーチェイスしながらの銃撃戦は、まさにジェームス・ボンド映画。撃退してホッと息をついたらジャーンと敵戦闘ヘリが登場したりして、アクション映画を一人称で体験しているという感覚になる。ほんとに、年末年始どこにも行く予定がないなら(それもちょっと寂しいけど)、COD4で行く近代の世界戦場巡りツアー、ほんと、お勧め。