標準装備のアプリケーションの中で、辞書と並び要注目なのが「Apple Mail」だ。豊富なテンプレートを備えたHTMLメールの機能強化が、ビジュアル的にはアピールするのかもしれないが、もっとアップルらしさを感じる新機能が用意されている。
その1つが「メモ」。誰かに宛ててメッセージを送信するのではなく、メールボックスに残るメモを作成できるのだ。他人へメッセージを伝えることが電子メール本来の目的なはずだが、メモはいわば自分宛のメッセージツールとして機能する。ちなみに、Leopardのプレス向け内覧会で耳にしたところによると、会議の記録などをメールで自分宛に送信し備忘録代わりに活用しているユーザは少なくないそうで、その意を汲んだ新機能なのだとのこと。ファイルを添付したり、スマートメールボックスを作成したり、通常のメールと同様に扱うことができるため、PIMアプリを放置しがちなユーザには手頃かもしれない。
これは便利、と感じたのが「データ検出機能」。メッセージにある住所や日付などの情報を自動的に識別、そこへカーソルを近付けて「▼」をクリックするだけで、アドレスブックやiCalにエントリを作成できてしまう。これまで、メッセージに記載されたそれらの情報もとにエントリを作成しようとすると、対象のアプリケーションを手動で起動しコピー&ペーストで対応することが一般的だったが、これからはワンクリックで処理できる。
「文字拡大機能」も面白い。電話やFAX番号の横に表示された「▼」をクリック、「大きな字で表示」を選択すると……画面いっぱいに電話 / FAX番号が表示される(住所でも同じ操作が可能)。メッセージを何度も確認しながら電話をかけることは、筆者も経験があるが、よく考えればアナクロな感じもする。FAXモデムが非コモディティ化した現在、実際のダイヤル作業は人間が行わなければならないが(ちなみにiPhoneには自動ダイヤル機能がある)、ちょっとシャレた感じに仕上げたという意味で記憶に残る新機能だといえる。
Preview
利用頻度の高いアプリケーションの1つ「プレビュー」も4.0にバージョンアップ、気の利いた機能がいくつか追加された。静止画 / PDFプリビューアとしての存在感は、クイックルックに取って代わられた印象もあるが、まだまだ出番は多そうだ。
まず、編集機能が強化された。Tigerのとき(Preview 3.x)に追加されたPDF編集機能は、コメントを追加できるにしても矩形領域をPDF上にそのまま作成するもので、相当量の余白が必要なため長文を書き込む用途には適さなかったが、新しい「メモ」ならばそれが可能。また、複数のページを持つPDFの場合、サイドバーに表示されたアイコンをドラッグ & ドロップして、ページの移動や削除を行うことも可能になった。Adobe Acrobatに比べると機能的に見劣りするが、これだけのPDF編集機能がOS標準の機能として利用できることのメリットは大きい。
インスペクタの機能が強化されたことも、重要なポイント。EXIFにGPSデータを持つJPEGファイルを開くと、ワールドマップで撮影地点を確認できるほか、Googleマップに表示することもできる。PDFの場合には、書類全体またはページ単位で回転させたり、書き加えたメモのアイコンを変更したり、といった編集も可能だ。カラー調整やサイズ調整といった編集パネルも追加されているので、写真を加工するときフォトレタッチソフトの力を借りずプレビューで済ませてしまう、という使い方もアリだろう。