さて、この基板の裏側は、こんな具合になっている(Photo54)。2層構造といっても良いが、途中は2つのフレキケーブルで接続され、折り畳む構造になっている。折りたたまれた子基板はこんな感じ(Photo55)だ。シールドを取り去るとこんな感じ(Photo56)で、メインボード側にアナログ回路がまとめて集積されているのが分かる。
さて、搭載されている主要なチップだが、Photo56の左上にあるのはSSTの8Mbit Flash(Photo57)。これはWi-Fiのコントローラである88W8686用のものと想像される。
一方右上にあるのはNSのVM74RG(Photo58)であるが、これの正体がさっぱり分からない。というのはNSの標準品にはこの型番・パッケージともに存在しないからで、またiPhoneでもこのチップは利用されていなかった。可能性として考えられるのはiPhoneにおけるM73RC(Photo59)の代替となる、CPU向けの省電力コントローラ(例えばPowerwiseシリーズのCPU動作制御まわりを全部ワンチップ化して、ついでに温度センサーコントローラあたりまで統合している可能性がある)ではないかと想像される。
Photo58: NSの場合、VMで始まる型番の製品がそもそもないし、パッケージが40pinのLQFPというあたりで明らかに標準ではないことが分かる。ちなみにNSのLQFPパッケージはこちらの一覧で分かるとおり、32/44/48/52/64/80/128/144pinで、40pinというパッケージは本来存在しない |
Photo59: iPhoneにおけるM73RC(CPUの上に位置する) |
一方子基板の左側(Photo56左下)には、Appleロゴの"338S0461"が鎮座する(Photo60)。これがまた謎である。iPhoneの場合、"338S0459"というチップがあり、筆者はこれをInfineonのPMB6811あたりをベースにした電源管理チップではないかと想像したが、今回はWi-FiはともかくEdge / 3G関係は一切搭載されていないから、機能的にはかなり余分になる。ただPMB6811はRF以外のデバイスの電源管理やバッテリー / ACアダプタの制御、アナログアンプなども含まれているので、同種のデバイスが搭載されていることは不思議ではない。型番が多少違うのは、このあたりの(iPhoneとの)要望の差を踏まえて設計変更がなされているのではないか、と思う。
子基板右側(Photo56右下)には、Linear TechnologyのLTC4066が搭載される(Photo61)。こちらはUSBの電源管理を行うもので、USB経由のバッテリーチャージの制御を行うためのものだ。