さて、本体であるがシールドケースを外すとこんな具合にチップが顔を出す(Photo46)。このうち左上の黒いものは、液晶パネルへの配線をつなぐコネクタである(Photo47)。配線はちょっと独特で、電池パネルを外すと液晶用のケーブルとRFおよびタッチパネル用のケーブルが液晶パネルの裏面に沿って走っているのが分かる(Photo48)。ちなみに電池は相変わらず直結配線で、iPod touchもiPhone同様、電池交換は全く考えていないようだ。
Photo46: こちらはアプリケーションプロセッサ部で、無線関係は裏面の模様 |
Photo47: 最初は製造上の配慮(組み立ての容易性)かと思ったが、RFまわりへはコネクタを介さずに直接フレキケーブルが取り付けられている(それもフレキケーブルを挟みこんで基板を積層している)ことを考えると、液晶パネルと本体を別々に製造し、検査してパネルに不良があったらすぐに交換するため、という気がしてきた |
Photo48: ななめに走る黒いフレキケーブルが液晶パネル、中央で"h"形を描くのがWi-FiのRF段につながるケーブル。タッチパネルはこのWi-FiのRF段にコネクタが設けられており、恐らく"h"形のフレキケーブルを介して本体につながっているのであろう |
さて、まずこの表面に実装されているパーツであるが、まずはCPUである(Photo49)。iPhoneのそれ(Photo50)と酷似しているが
- 1行目が"339S0030 ARM"→"339S0029 ARM"
- 4行目が"K4X1G153PC-XGC3"→"K4X1GA53PE-XGC3"
とやや異なっている。1行目から、CPUそのものがiPhoneとは異なっていることが推察されるが、詳細は不明である。というわけで、またもや推定するしかない。ベースになるのは、やはりSAMSUNGのS3C6400ベースの製品だと思われる。ただし型番が異なるあたり、内部構成に若干の違いがあると考えるのが妥当だろう。
Photo49: 型番の詳細が一切公開されていないので、その他の型番の意味は考えても無駄だろう。ただカメラインタフェースについては、本当に省いたかどうかは微妙だ。というのは、それを省いてもコストはほとんど変わらないと思われるためだ |
Photo50: iPhoneのCPU。詳細は「【レポート】iPhone分解レポート - 搭載チップを探る (4) カスタムパーツてんこ盛り」参照 |
では何が違うのか? その答えが4行目である。iPhoneには1Gbit品のMobile DDR-SDRAMが入っていると推定したが、やはりiPod touchにも1Gbit品が使われているようだ。ただし構造が"15"(16bit幅のチップ×2)からA5(未公表:恐らく独自構造)に切り替わっており、またGeneration Codeも"C"から"E"に変わっているところを見ると、搭載しているメモリチップの製造プロセスが変更になったのではないかと想像される。信号電圧は"P"(1.8V LVTTL)だが、プロセス微細化で待機時電流などを減らした新タイプというあたりではないかと思う。
もう1つ考えられるのは、カメラインタフェースを省略したこと。これをDisableにしてあるので、CPUの型番を1減らしたというあたりも考えられなくはない。
次がFlash Memory(Photo51)だ。これはiPhoneと同じ、32GbitのFlash Memoryを2つ搭載して、合計8GBになっている。16GB版のiPod touchではここが64Gbit品に変わるのだろう。
Photo51: なぜかSamsungのFlash MemoryのページにはNAND MLC製品へのリンクがないが、ordering informationで"K9HBG08U1M-PCB0"を入力するとスペックが出てくる |
Flash Memoryのさらに脇には、 英Wolfson MicroelectronicsのWM8758 Audio Codecが搭載されている(Photo52、Photo53)。この製品は同社のProductページにはないが、iPhone / iPod touchにとどまらず、iPodシリーズに広く利用されているCodecで、その意味ではやはりApple専用といってよいセミカスタム製品である。