AGURU IMAGESブース~高品位モデルキャプチャ、高品位テクスチャキャプチャの新興勢力

実働6名、設立されて6カ月の若いAGURU IMAGESが展示していたのは、広いSIGGRAPH 2007展示会場でも一際目立つ球形のオブジェ。

球形はパイプフレームで形作られており、その内壁には無数の白色LEDランプが取り付けられている。

CG背景に実在俳優を合成するためのライティングマシーンがこれとよく似た姿をしているが、AGURU IMAGESCEOのCraig Miller氏やCOOのSaul Orbach氏は「そうではない」と否定。

「AGURU DOME」。白色LEDの総数は全部で546個

ドーム内部に取り付けられた照明モジュール。白色LEDはPhilipsが最近発売した高効率タイプを採用しているのだという

実はこれは人の顔(あるいは人体)を3Dモデルとしてキャプチャし、さらには様々なテクスチャデータをキャプチャするためのシステムなのだという。名称は「AGURU DOME」で、現在はこのドーム自体を販売するのではなく、このドームでキャプチャしてデータを納入するサービスビジネスを行っていくとのこと。なお、受注生産もできなくはないとのことで、このドームとソフトウェアのシステム込みでおよそ30万ドル(3600万円)ほどになるらしい。

3Dモデルの取得は、二方向からストライプ模様をプロジェクタで照射し、これをドーム内壁に備え付けられたデジタルカメラで撮影してキャプチャする。なお、後頭部や髪の毛は取得しない。取得できる3Dモデル精度は最大で500万ポリゴンと圧倒的なデータ量で、皮膚の凹凸やヒゲの一本一本までがジオメトリ情報として得られるという。

500万ポリゴンで取得された顔モデル。一見シェーディングされた映像のように見えるが、実はワイヤーフレーム表示!

ジオメトリ情報だけでなくテクスチャや反射モデルパラメータの取得も同時に行える

3Dモデル取得後はドーム内のLEDが光りだし、テクスチャ取得モードへと移行する。表皮のデカールテクスチャ以外に、スペキュラ(鏡面反射パラメータ)、拡散反射パラメータの分布などが得られ、さらに全方位照明機能を活用し、「双方向反射率分布関数」(BRDF:bidirectional reflectance distribution function)パラメータや「双方向テクスチャ関数」(BTF:bidirectional texture function)といった動的ライティング向けのシェーダパラメータまでが得られる。BRDFやBTFはある方向から入射した光がどういう反射をするか……といった対応をデータテーブル(テクスチャ)化した関数。もともとはオフラインCGなどで主に活用されてきた技術だが、最近ではリアルタイム3Dグラフィックスで活用されることも多くなっている。

AGURU DOMEは高品位な3D顔モデル意外に、高精度なシェーダパラメータまでを得られるシステムなのだ。

実際に取得した顔モデルと各種テクスチャデータを反映させてリアルタイムレンダリングさせた様子。皮膚の照明効果のリアリティはなかなかのもの。光源やモデルを動かすと陰影の出方も変わる