マイクロソフトブース~新ユーザーインタフェース「Surface」を公開
マイクロソフトは2001年から研究を重ねてきたテーブルトップ・コンピューティング・インタフェース「Surface」の2007年度版の公開を行った。
画面を見ながらキーボードやマウスを操作して活用するのではなく、「もっと直観的なインタフェース」として開発されたのがこのSurfaceだ。直観的、とはそのまま画面を触りながらコンピュータにインタラクトすること。今でもタッチパネルはあるが、あれは、どちらかといえば既存のマウス操作を指やペンに置き換えただけのものだ。Surfaceはタッチパネルの概念を拡張し「直接画面を触るからコソできる新しいインタフェース」として開発されてきている。また、これまでは難しかった複数人が同時にインタラクトしてくることへの対応もテーマとして開発が進められてきたという。
今回の展示では、Surfaceの基本機能の紹介と共に、2007年末の一般向け実用化に向けて実装したサービス機能についての紹介を行った。
今回公開されたSurface試作機は画面サイズ30インチのタイプでW106cm×H56cm×D53cmの大きさ。コアはWindows VistaベースのPC(スペック不明)で、100BASE-TX、IEEE802.11b/gネットワークとBluetoothに対応している。
形状はテーブル型で、表示はテーブル上に行われる。一見液晶のように見えるが、実はリアプロジョクションシステムで内部に小型のプロジェクタが備え付けられている。
ユーザーがテーブルに手を置いたり指を動かすと、それを検知する仕組みが備わっているが、実はいわゆる静電式のタッチパッドではなく、テーブル内部のプロジェクタ脇に取り付けられた小型ビデオカメラによってモーション検出を行っている。複数ユーザーの同時インタラクトは画像認識と画像処理技術によって実現されていると思っていい。
まず行われたのはお絵描きのデモ。使い方はWindows標準ソフトの「ペイント」と似たような感じだが、選んだ色で手形が押せたり、同時に複数人が画面の好きなところにお絵描きができる。
続いて行われたのは写真ビューアーのデモ。実際にプリントされた写真をテーブルの上にばらまいたような感じで、任意の写真を見たり拡大したり回転させたりすることができる。これも複数のユーザーが、テーブルの写真を自分の方に近寄らせて見たり…といったことができる。拡大や回転はジェスチャー入力が可能。写真の端に指を当てて指を広げるようにすれば写真は拡大される。
ジグゾーパズルの動画版もSurfaceならば面白さが倍増。実際に画面上に置いたガラスの矩形チップに向かって動画が投射される。1枚のちゃんとした動く映像にできたらゲームクリアというルール。矩形チップを回転させれば映像も回転できるのがユニークだ。
そうしたホビーユース以外のビジネス向けの機能も紹介された。
マイクロソフトではこのSurfaceを実際に、年末から、一部の販売店やレストラン、ホテルに試験的に導入させる予定だとのことで、ここから公開されたデモはそうした実際の活用シーンを想定したものになった。
1つはインタラクティブカタログ機能。興味のある商品見本をSurface画面上に置くと、それを認識してスペックや特殊機能を紹介し出す。デモでは、携帯電話の販売シーンを想定し、2台の携帯電話を置くと、両者のスペックを並べて比較できる、といった機能を紹介した。
シェラトンホテルのロビーで実用化予定のジュークボックスと楽曲売買システムを統合システムも公開。これは今演奏されている楽曲の情報を引き出せたり、リクエストを出したり、あるいは気に入った楽曲をここから購入することができるというもの。ホテルのキーカードと自分の持っているZune(iPodじゃないところがミソ?)を置くとこれを認識。このあとユーザーは、気に入った楽曲を指つまんでZuneに持って行けばZuneに楽曲が転送されてホテルの部屋に課金がなされるという具合。自分のZuneと友人のZuneを同時に置けば、楽曲やプレイリストの交換も可能。これは確かに面白くて便利。
パーソナルユース向けPCインタフェースとしてはややまどろっこしい感じもするが、大勢の人が集まる公共の場に置くPCのインタフェースとして、あるいはグループでコンピュータを活用するような局面では威力を発揮するように思う。今後の展開が楽しみなシステムだ。