「TORSO」~東京大学大学院情報理工学舘研究室~ロボットの一人称視点を体験する!?

危険地帯でのロボット活用シーンなどにおいて、人間の操縦者がロボットを操縦する際には、ロボットに搭載されたカメラからの映像等によって操縦することになる。

ただ、その際の視線の動きは、これまで上下左右、そして視線の回転の3軸に限定されていた。

そこでこれに対しもう3軸の自由度を増やし、操縦者側の上半身全体の自由度を付加するシステムの開発に成功。これが「TORSO」システムだ。

被験者はヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着。遠隔地のロボットヘッドには人間の両目の間隔で離された二基のCCDカメラが備え付けられており、ここからの映像が立体視映像としてHMDに転送される。つまり、この時点で被験者はロボットヘッドからの一人称視界を立体視できていることになる。

ここで被験者が頭や上半身を動かすと、HMDに接続されたポテンションメーターを駆動させることになり、この入力からホストPCが、頭部の位置や角度を検出するこの情報を元に、ロボットヘッド側を駆動する。

システム模式図とロボットヘッドの自由度の仕様

実際に体験してみたが、こちらの動きとの追従が非常に自然で、しかも高速。立体視であるため、臨場感も高い。

CCDカメラは768×494ドット、HMDの液晶パネルは左右用にそれぞれ1024×768ドットのものを二枚使用し、ミラーで合成して目の前に結像させる仕組みを採用している。オリンパス等から市販されていた民生向けHMDのプリズム方式と比較してHMD自体が大きくなるのが欠点だが、小型パネルを使わずすむのでコスト的には有利となる。

視野角は水平約42°、垂直約32°。

ロボット側は背骨の傾き角、回転角がともに±30°、ロボットヘッドの首の上下角が45°、首振り角が±30°、首の回転角は±180°という自由度になっている。

HMDを取り付けた被験者

ロボットヘッド側

頭部、そして上半身を動かすとその動きにロボットヘッド側が高速に追従する

動画
動作の様子を解説したムービー
(WMV形式 2分58秒 約6.37MB)