SIGGRAPHでは、バーチャルリアリティやコンピュータグラフィックスとそのインタラクティブ技術の最先端研究を集めた「EMERGING TECHNOLOGIES」展示セクションが毎年公開される。この展示セクションは、日本企業や大学の出展が多く、とてつもなく広いSIGGRAPH会場において、もっとも日本人密度が高いところとしても有名だ。
CoGAME/東京大学大学院新領域創成科学研究科~定番コンピュータゲームを"リアル"に楽しむ
床フィールド上におかれた亀型ロボットとゴールのマーカー。手に持ったコンパクトなプロジェクタからランダムに選択される「道」パーツを床に投射することで、床にいる亀型ロボットをゴールマーカーへと導く…ゲームスタイルの展示。プロジェクタを回転させて投射すれば、投射映像の「道」パーツの向きを変えられる。投射される「道」パーツをうまく回転させ、いかに短い時間でゴールマーカーに亀型ロボットを導けるかを競うゲーム性になっている。
一見すると亀型ロボットに様々なセンサーが搭載されていて、地面の映像を認識して自律走行しているような想像をしてしまうが、実は違う。「CoGAME」では発想を逆転させ、むしろプロジェクタ側のほうに様々なセンサーが取り付けられており、亀型ロボットは基本的にはただのラジコンカーのようになっている。
プロジェクタ側には加速度センサが取り付けられており、プロジェクタの傾きや軸回転を認識する。投射する「道」パーツの映像はホストPC側でわかっているので、「道」パーツ映像がどのように投射されているかも、システム側で把握できている。
さらにプロジェクタ側にはCCDカメラが備え付けられており、プロジェクタの映像照射方向の視界をとらえている。亀型ロボットの甲羅部分には3つの赤外線LEDが取り付けられており、この赤外線LEDをCCDカメラが捉えた場合は、「プロジェクタから照射された道パーツが亀の近くに投射されている」ことと、「亀の向きがわかる」ことになる。前出の道パーツの照射状況も把握できているので、あとはホストPC側から、亀ロボットに対し「どの方向にどれだけ移動せよ」と普通のラジコンカー的な操作をするだけでいい。
担当者は「遊んでもらって、被験者から『亀ロボットが賢いですね』という感想がもらえたら、"しめた"っていうかんじですね。狙い通りっていうか(笑)」と語っていたが、なるほど、確かに、こうした発想の逆転はかなりユニークである。大がかりなモーション/ポジション・トラッキングシステムも不要だし、ロボット側にもほとんどコストがかからないという点も優れている。
現在、最先端の携帯電話の開発シーンでは、LEDプロジェクタを携帯電話に搭載する試みが行われているそうで、その実験的なアプリケーションの提案として、このシステムを開発したのだそうだ。
なお、より詳細な情報はオフィシャルサイトに掲載されている。