ノイズは少ないが、「ノイズフィルタ」で変わる画質

E-510の撮像素子は、E-410と同じ有効1000万画素のLiveMOSセンサー。解像力は約1800TV本強と、これもE-410と変わらない。どちらも十分な解像力だろう。

E-410ではノイズの少なさに驚いたが、これはE-510でも同様だ。ISO 800はもちろん、ISO 1600でも多少コントラストが下がる程度でノイズらしきものは見られない。

E-510やE-410のメニューを見ていると、ノイズ低減機能がふたつあるのに気付く。「ノイズリダクション」と「ノイズフィルタ」だ。前者は長秒時に発生する雪が舞うようなノイズを軽減するもの。本撮影のあとでノイズだけを撮影し、ノイズを引き算で消してしまう機能だ。ただし通常の2倍の撮影時間が必要になる。

気になるのはもうひとつの「ノイズフィルタ」。「OFF」「弱」「標準」「強」が選択でき、マニュアルには"高感度撮影では「強」に設定することをお勧めします"と書かれている。そこでISO 1600で試してみた。確かに「強」はノイズが減るが、画像がのっぺりしてしまう。Photoshopで「ぼかし」をかけたような画像だ。比べてみて、初期状態である「標準」でもずいぶん像がゆるくなっていることに気付いた。E-410でノイズが少ないと報告したが、「ぼかし」がその理由なら少々寂しい話。ノイズが多少見えてもシャープな画像が欲しいなら、「ノイズフィルタ」は「弱」か「OFF」にしたほうがいいかもしれない。

解像度チャート。1800TV本強まで解像している。
ED 14-42mm F3.5-5.6
42mm(84mm相当)
SHQ(JPEG)
マニュアル(F5.6、1/5秒)
ISO 100
WB:オート
仕上がり:NATURAL
オリジナル画像はこちら

「ノイズフィルタ」のメニュー。以下のノイズテストは同じ条件で撮影。
ED 14-42mm F3.5-5.6
37mm(74mm相当)
SHQ(JPEG)
プログラムAE
WB:オート
仕上がり:NATURAL

ISO0 100(ノイズフィルタ:標準)

ISO0 200(ノイズフィルタ:標準)

ISO0 400(ノイズフィルタ:標準)

ISO0 800(ノイズフィルタ:標準)

ISO0 1600(ノイズフィルタ:標準)

ISO0 1600(ノイズフィルタ:OFF)

ISO0 1600(ノイズフィルタ:弱)

ISO0 1600(ノイズフィルタ:強)

絵づくりはE-410とほぼ同じ

絵づくりについてもE-410とほぼ同じようだ。オリンパスらしい軟らかさを残しながら、ヌケを良くした好感の持てるもの。「仕上がり」のVIVID / NATURAL / FLATでずいぶん絵が変わるのも同じだ。

今回はマクベスチャートを使って、各色の明度がどう変わるかを調べてみた。下のダイナミックレンジとした図がそれ。図を見ただけでは何のことかわからないかもしれないが、白飛びのしやすさや、色のバランスが読み取れる。白飛び傾向は一般的なものだが、色のバランスがE-500などとはずいぶん違っている。E-500はマゼンタのラインがずいぶん上に位置したのに、E-510では他社のカメラと同じように、マゼンタとシアンがほぼ同じラインを描く。以前より赤みを抑えていることがわかる。

「仕上がり」のメニュー。以下、同じ条件で撮影。
ED 14-42mm F3.5-5.6
32mm(64mm相当)
SHQ(JPEG)
プログラムAE
WB:オート
ISO 100

仕上がり:VIVID

仕上がり:NATURAL

仕上がり:FLAT

仕上がり:モノクロ

彩度の高い被写体を撮影し、○の部分のヒストグラムを比較したのが次の図。
ED 14-42mm F3.5-5.6
42mm(84mm相当)
SHQ(JPEG)
マニュアル(F8、1/60秒)
WB:マニュアル
ISO 100

部分ヒストグラムはE-410とほぼ同じになった。彩度の高い部分でも張りつかず、階調を確保する。FLATのみ、青と緑が入れ替わるのが興味深い

図のようなマクベスチャートを明るさを変えて撮影し、各色の明度を比較したのが次のグラフ。
ED 14-42mm F3.5-5.6
42mm(84mm相当)
SHQ(JPEG)
マニュアル(F5.6)
WB:マニュアル
ISO 100
仕上がり:NATURAL

明度の変化はたおやかな曲線を描いた。白飛びはごく一般的なレベルで発生。E-500までのオリンパス機は、マゼンタのカーブがずいぶん上にあった。明るい色と暗い色の明度差が大きいのもオリンパスの特長