3代目となる今度のMacBookは、Core DuoからCore 2 Duoという一大変化を伴った2代目が登場したときに比べ、小粒感が強い。黒 / 白2.16GHzと白2.0GHzの3モデルとも価格は据え置かれながら、CPUのクロック数アップとRAMの標準搭載容量が1GBに増強され、HDD容量も40GB(白2.0GHzは20GB)に増えてはいるものの、サプライズというレベルではない。やはりマイナーチェンジの範疇を出ないことは確かだろう。

しかし忘れてはならないのが、エントリモデルのCPUがCore 2 Duo T7200に変更されたこと。2代目のエントリモデル(Core 2 Duo T5600(1.83GHz)では2MBだったL2キャッシュが4MBに倍増、パフォーマンス向上が期待できる。標準装備されるメモリ容量も、上位2モデルと同じ1GB。HDD容量は80GBと不足気味だが、いざとなればHDDの交換が容易なMacBookの長所を活かせるはず。光学ドライブがSuperDriveでないことさえ割り切れれば、コストパフォーマンス抜群の1台といっていい。

MacBook Proとの比較でいえば、同じ2.16GHzのCore 2 Duo/T7400を搭載する15.4インチモデル(MA609J/A)と3代目MacBook 白2.16GHzモデル(MB062J/A)では、9万円もの価格差がありながら、液晶ディスプレイの大きさとHDDの容量、グラフィックチップの違い、そしてFireWire 800ポートの有無を除けば、際だった機能差が認められない。もちろんボディデザインや質感は大きく異なるが、メモリとHDDへのアクセスの容易さ、ラッチレスの開閉機構といったMacBookならではの長所もある。細かいところでは、SuperDriveの書き込み速度が最大8倍と、MacBook Pro 2.16GHzを超えてしまったスペックもあるほどだ。

では今が買いどきかどうかというと、多少の割り切りは必要かも。今年春にリリース予定だったLeopardは秋に延期となり、いずれOS更新に伴う追加出費を要する。一大イベントのWWDC 2007を目前に控え、次期MacBook Pro投入の可能性もある。噂どおりSanta Rosaプラットフォームが採用されれば、低消費電力とグラフィックス性能の点で、3代目MacBookとの差が際立つものと考えられる。

正直なところ、インパクトと"物欲刺激力"に欠ける感がある今度のMacBookだが、デビューから1年経過し、こなれてきた印象も強い。BootCampや仮想化ソフトを使えばWindowsマシンとして使えるだけに、MacもPCもというニーズにも応えられる。本来上位モデルであるはずのMacBook Proとの機能差が少ない今、値頃感も強い。我が国には「売り家と唐様で書く3代目」という一種のジンクスがあるが、ビギナーの期待もパワーユーザの要求もそつなくこなすこちらの3代目には、あてはまることはなさそうだ。

テスト機のSuperDriveには、松下製のUJ-857Eが搭載されていた

物欲を強く刺激するインパクトには欠けるが、コストパフォーマンスは抜群