色のりが良い、ちょっと大人の絵づくり
GX100は、画質(画像設定)を「硬調」「普通」「軟調」「白黒」「セピア」の5種類から選べる。よくある「鮮やか」「忠実」といったカラーモードは備えていない。「夜景」「スポーツ」といったシーンモードはあるが、種類は少なく、おまけ程度。ちなみに自分の好みで「コントラスト」「シャープネス」「色の濃さ」を変えた画質を2つまで設定することができる。
GX100の色はGRと比べると落ち着いて、現実の色を忠実に再現する考え方のようだ。GRの画質は他のコンパクトと同種といった意見が多かったように思う。そのためか、GX100ではずいぶん絵づくりの方向が変わった。うまく表現できないけど、最初に思ったのは「粘っこさを感じる色」というものだった。たぶん、忠実な色だが色乗りが良いというところでそう感じたのだと思う。
コンパクトデジカメというと、一見したところキレイだけど、階調が乏しかったり、CGで描いたような絵になることも多い。GX100の画像はそれと正反対。安価な一眼レフよりもしっとりとした表現ができる。個人的にこの色はとても好みだ。ちょっとAEに不安定さを感じるが、このカメラを使うようなユーザーはマメに露出補正をするはずだし、あまり問題にならないはず。
ダイナミックレンジをギリギリまで使っているようで、それはいいのだけど、明るい被写体は白飛びしやすい傾向があるようだ。しかし、白飛びを怖がってダイナミックレンジを使い切れず、ゆるい写真しか撮れないカメラより潔くて良い。
高感度時のノイズは多め
画質で気になったのは、高感度時のノイズがかなり多いこと。すでにISO200でノイズが発生し、ISO400で目立ち始める。ISO800はノイズを覚悟しないといけない。最近のカメラはノイズが少なくなっているので、GX100のノイズにはちょっと驚いた。1000万画素にしたことが影響しているかもしれない。GRのように800万画素のほうがノイズを少なくできるなら、800万画素のままで良かったのでは?と思う。
ただ、ノイズはAEの考え方も関係しているかもしれない。ノイズのチェックは絞り優先AEでF値を固定し、ISO感度の設定だけ変えて撮影したが、高感度になるほど像が明るく撮影されてしまった。"感度を上げる=明るく撮りたがっている"とカメラが判断しているようにも見える。光が少ないところで無理やり明るくするわけだから、ノイズが目立って当然かもしれない。
高感度撮影時には露出補正を行なって、ISO100のときと同じような明るさで撮影すれば、ずいぶんノイズは目立たなくなるはずだ。それと「AUTO-HI」の設定では、ISO感度オートの上限をISO400、800、1600から選べるようになっている。ノイズを避けたいならISO400に設定しておくといいだろう。
ISO感度を上げないためにも、手ブレ補正が役に立つ。GX100は、GX8やGRにはなかった手ブレ補正機能を搭載している。手ブレ補正機能は撮影の幅が広がるので、プロ・アマ関係なく便利な機能だ。
知人にGRユーザーがいるのだが、彼はGRに手ブレ補正が付いていればもっと撮影の幅が広がるのに……と嘆いていた。GRの最低ISO感度はISO64。しかしISO64では明るい屋外以外では、絞り込んだ手持ち撮影は難しいらしい。そういう話を聞くと、手ブレ補正機能は撮影の幅を広げてくれる魅力的な機能なのだと改めてと思う。台に肘をつけた状態だったが、GX100では1/7秒でもブレずに撮影できた。エスカレーターや動いている電車内もブレは起きなかった。補正効果は高いと思う。これなら感度をあまり上げなくても大丈夫なはずだ。
絵づくりの違い
ホワイトバランスの設定を変更して撮影 |
ノイズ
ノイズをチェックするため、ISO感度を変更して撮影。以下は図示した部分をトリミングしたもの |
ISO 100 |
ISO200 |
ISO400 |
ISO800 |
ISO1600 |
動いている電車内で撮影。ISO感度設定をAUTO-HIに設定。ISO1600まで上がったが、シャッタースピードは1/30秒。ノイズは出ているがブレは起きていない |
白飛び
明るい被写体は白飛びを起こしやすいように感じた |
白飛びは、再生時に確認できる。黒い部分が白飛びしている部分
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画像設定[硬調]で撮影。彩度やシャープネスも少し上がるようだ。撮影情報は以下も同じ |