他のWebブラウザ/プラットフォームと比べて

以上のように新機能が満載のシイラ2.0だが、ユーザの立場からすると、使い慣れたWebブラウザを変更するにはそれなりの手間と学習が必要になるため、「切り替えるには相応の"勇気"が必要」というのが本音だろう。また、最近では、AppoloやSilverlightといった新たな形態のWebクライアントが騒がれており、これらも強力なライバルになると見られる。そうした中、木下氏はどうような点にシイラの優位性を見出しているのか。これについて同氏は次のように答える。

シイラの開発は非常に楽しいと答える木下氏。シイラプロジェクトでは、ビジネスモデルの確立に協力してくれる人と募集中だ。

「シイラ2.0の開発では、Mac OS Xのネイティブ機能を使って、Mac OS Xの魅力を最大限に引き出すよう努力してきた。各機能のUIもそうだが、そのほかにも、例えば内部でSpotlight、Core Image、Core Dataといった機能を使用しており、シイラ2.0を使って取得したデータ(Webページや画像、RSSなど)をMac OS Xのファイル検索システムを使って検索するといったことも可能になっている。このあたりは、Firefoxや、Appolo、SilverlightといったマルチプラットフォームのWebクライアントでは真似できない部分だろう。また、SafariのHTMLレンダリングであるWebKitをベースにしているため、Safariの使用感を著しく損なうようなことはなく、Safariに対して新たな機能を追加したようなWebブラウザになっているはずだ。」

「シイラの開発にはかなりの時間と労力を費やしている」という木下氏。では、これをどのようにしてビジネスに結び付けているのか。この問いについては「思案中」という答えが返ってきた。

「シイラは、私が好きで開発を始めたプロダクト。このWebブラウザの開発をやっているときが最も楽しい。だからこそ開発を続けてこれたわけだが、"それをどうビジネスに結びつけるのか"と聞かれると、明確な答えはまだない。現在、私のほかに、デザイナーが1人、サイト管理者が1人、デバッグ担当者が3人いるが、全員がほぼボランティアのような状態。もし、このプロダクトを使ったビジネスモデルについてアイデアがある方がいれば、ぜひ連絡してほしい。」

なお、木下氏は、現在、執筆とセミナー講師およびMac系の開発案件を手伝うことで収入を得ている。近いうちに、ビー・エヌ・エヌ新社からCocoaプログラミングに関する入門書を発行する予定であるほか、弊誌でも連載/特集の執筆で活躍中だ。

シイラ2.0には、本稿で紹介した以外にも非常に多くの機能が搭載されている。Macユーザの皆さんはぜひ一度ご自身の手で試してみてほしい。