パナソニックのデジタルコンパクトカメラ「LUMIX DMC-TZ3」(以下、TZ3)が発売された。TZ3は28-280mm(35mm判換算)の10倍ズームと大画面3型液晶が最大の特徴だ。マイコミジャーナルの「価格情報」での平均税込み価格は42,626円(4月13日現在)となっている。ユーザーが欲しいと思う機能を詰め込んだTZ3をレポートしよう。

28-280mmの光学10倍ズームを搭載したTZ3。カラーバリエーションはブルー、ブラック、シルバーの三色

35mmから28mmに変更された焦点距離

TZ3は2006年3月に発売されたTZ1の後継機に位置する。TZ1は「旅カメラ」という位置づけで光学10倍ズームを搭載していたが、焦点距離は35~350mm(35mm判換算。以下同)だった。TZ3の大きな変更点は、焦点距離が28~280mmになったことだろう。つまり、少しワイド寄りになったわけだ。主流の焦点距離は35mmからはじまるものが多いなか、パナソニックは28mmを主流ラインナップに採用してきた。

TZ1の「旅カメラ」というコンセプトを引き継いだはずだが、TZ3は中高年層を狙った「奥様カメラ」なのだという。個人的には、中高年層の女性を狙うのなら、FX30に「お嬢様カメラ」と名付けず、TZ3をみのもんた風に「お嬢さんカメラ」と名付ければいいのに……と思ったりもした。愛称はどうでもよいが、とにかく28mmからの10倍ズームは面白い。カメラをあまり使っていない人には28mmも35mmも代わらないように思うかもしれないが、28mmぐらいあるとパースが強調され、35mmとはぜんぜん違う絵が撮れるのだ。それと16:9で撮影したときも、35mmより画角の広い28mmのほうが効果的に使えると感じた。

旅カメラとして考えても28mmは有利だ。例えば、夫婦二人で旅行へ行くと仮定しよう。記念写真を撮るときに、どちらか片方が被写体、片方が撮影というパターンばかりではちょっと寂しい。ほかの人にシャッターをお願いすることも可能だが、毎回誰かがいるとは限らない。そんなときは「自分撮り」すればいい。しかし2人で自分撮りすると、35mmでは画面いっぱいに自分たちの顔が写ってしまう。これではどこに行ったのかわからない。その点28mmなら、画角が広いので背景も大きく入れられる。加えてパースがつきやすいので、少し上から撮れば目が大きくあごのラインがシャープになるという、女性には嬉しい効果も得られるのだ。それに、見知らぬ人にシャッターを頼むと、二人で寄り添そうのが恥ずかしいものだが、自分撮りなら堂々と寄り添うことができる。そこらへんは奥様向きなのかもしれない。

10倍ズームを搭載しつつ、ボディがコンパクトなのも魅力。旅行などで持ち歩くのでもちょうど良い大きさで、リストストラップをつけても違和感なく、ポケットの収まりもよい。シャッターチャンスがあればすぐ取り出し撮影ができる。カメラバッグに入れて持ち歩く一眼レフカメラでは、出すのがおっくうになってしまい、「まぁ、いいか」と見逃してしまう被写体はけっこう多い。高倍率ズームを搭載したコンパクトカメラは、キヤノンのPowerShot S3 IS(12倍ズーム)や、ソニーのCyber-Shot H5(12倍ズーム)、H7(15倍ズーム)、オリンパスのCAMEDIA SP-550UZ(18倍ズーム)などもある。しかし、いずれもハイエンドコンパクトと呼ばれるモデルで、一眼レフに近い大きさがある。TZ3を触ってみると、「本当に10倍ズームを搭載しているのか?」と、疑いたくなるほどのコンパクトさだ。

コンパクトなボディだがグリップ部は大きめなので持ちやすい

TZ3の左側面。起動時にレンズが出てくる

TZ3の右側面。携帯ストラップ取り付け部とケーブル端子が付いている

TZ3の背面。3型23万画素、低温ポリシリコンTFT液晶を搭載。スタイリッシュコンパクトと違い、3型液晶を搭載しても持ちにくいと感じることはなかった

TZ3の上面。電源スイッチ、手ブレ補正ボタン、シャッター、ズームレバー、モードダイヤルが配置されている

TZ3の床面。三脚穴が端に付いているが、バランスは安定していた

レンズバリヤーを閉じた状態。サイズは105(W)×59.2(H)×36.7(D)mm(突起部を除く)、重量は257g(メモリーカード、バッテリー含む)

バッテリーとSDスロット。バッテリー容量は3.7V、1000mAh。撮影可能枚数は約270枚(CIPA規格)。SDHCにも対応している

付属のUSB接続ケーブルで周辺機器と接続するための「DIGITAL/AV OUT端子(上)」と、ACアダプター(別売)を接続するための「DC IN端子(下)」