できるだけいいレンズを使いたい
ではS5 Proの画像を見ていこう。まず、チャート撮影による解像力は1800TV本弱だった。1000万画素オーバー機としては標準的なところだが、解像の限界を超えてもごく自然に消失していくのがいい。妙な偽色は発生しない。
高感度時のノイズも少ないとしていいだろう。ISO 1600でも赤や緑の色ノイズはほとんど発生しない。しかしISO 800あたりから暗めの部分に若干のムラが現れるのが少々気になった。この後で掲載している天体写真で確認してほしい。
S5 Proはレンズの性能を忠実に出してしまうようだ。周辺光量落ちや色収差の発生するレンズは、それなりにクセが見えてしまう。それだけスーパーCCDハニカムの性能は高いということだろう。最初、やたら色収差が盛大に写るように感じたが、パソコンで画像をチェックしたらそうでもなかった。むしろD200よりも抑えられている。液晶モニターが派手めに写しているようだ。
解像力チャート |
ホワイトバランスは微調整が可能。赤←→シアン、青←→黄の2軸で設定できる |
S5 Pro + AF-S DX 18-135mm F3.5-5.6G |
D200 + AF-S DX 18-135mm F3.5-5.6G |
S5 Pro + AF-S DX 18-70mm F3.5-4.5G |
D200 + AF-S DX 18-70mm F3.5-4.5 |
見切りが上手い絵づくり
絵づくりは見事としかいいようがない。実に気持ちのいい色を見せてくれる。フィルムに近い色かどうかはわからない。むしろフィルムを超えているのではないか。非常に色乗りがよく、抜けもいい。S3 Proの色も良かったが、S5 Proではさらに細部までうまくコントロールされている。
他のカメラの画像もレタッチを駆使すればS5 Proと同じようにできるかもしれない。しかしそのためには相当な技術、時間が必要だろう。S5 Proはレタッチの必要をほとんど感じない。RAWさえ要らないかもしれない。いままで「鮮やか」「色が深い」といった言葉はさんざん使ってきたが、S5 Proは「すごい色」なのだと思う。
フィルムシミュレーションの「スタンダード」の応用範囲は広く、ほとんどのシーンで十分以上の画像が得られるはず。何というか、色づくりの限界の見極めが上手いといえばいいのだろうか。これ以上ではおかしくなる、下品になるという限界がわかっていて、そのギリギリの線まで一発で踏み込んでくる感じなのだ。また、だからこそフィルムシミュレーションの「F1」や「F2」が活きてくる。これは平気で限界を超える。