ダイナミックレンジを広げる子持ちCCD
使われているCCDは富士フイルム独自の、画素を斜めに配置した「スーパーCCDハニカム」。その中でもっとも高度な「SR Pro」が使用されている。これは通常のCCDの画素(S画素)の脇に高輝度用の小型画素(R画素)を置き、両方でひとつの画素として機能するのが特徴。俗に"子持ちCCD"と呼ばれる構造だ。
デジタルカメラは白飛びしやすいといわれているが、スーパーCCDハニカムSRでは、面積が小さく高輝度に強い「R画素」を使用することで、全体のダイナミックレンジを広げることに成功。白飛びの少ない画像を可能にした。またこの機能を利用し、ダイナミックレンジをユーザーの意図で変えることもできる。これについては後述したい。
構造的には、コンパクトカメラ用のスーパーCCDハニカムSRではひとつの画素を分割するようにS画素/R画素が置かれていたのに対し、S5 ProのそれはS画素とR画素が完全に別のものとして置かれている。CCDサイズに余裕がとれる一眼レフならではだろう。ちなみにS5 ProのCCDサイズは23.0×15.5mm。D200の23.6×15.8mmよりもわずかに小さいが、ほぼ同じとしていいだろう。画素数は1234万画素(S画素:617万画素、R画素:617万画素)となっている。
ただ、二つの画素からデータを合算するのに時間がかかるため、連写速度は遅い。最高で秒3コマ、D-RANGEを100%以外にした場合は秒1.6コマとなる。このあたりも速度があまり重要にならないスタジオ向きと言われる所以だ。しかしバッファはそこそこ備えているようで、連続撮影コマ数はRAW+JPEGでも約8~10コマ、JPEGだけなら約19~100コマと、十分なコマ数になっている(D-RANGEが100%以外の場合)。