FAST Hybrid for Revit 双方向ダイレクト連携の概要
この日の最後のセッションは、ファーストクルーの取締役社長 石川志朗氏による『FAST Hybrid for Revit 双方向ダイレクト連携の概要』と題されたセッションだ。まずは、同社が提供する鉄骨専用CAD/CAMシステム「FAST Hybrid」について説明した。仕口を設計ルールに従って自動設定するのをはじめ、一般図や詳細図の自動作図や現寸型紙、積算帳票の作成などを行うためのツールで、大型物件に対応した処理能力と図面品質の高さに定評があるという。主なユーザーはファブリケーターや図面作成会社とのことだ。
同社が「Revitとの連携ソフト」に着手したのは、「FAST Hybrid」のユーザーである大手ファブリケーターから紹介された大成建設から、構造データの連携を提案されたことがきっかけとのことだ。石川氏は「Revit」連携の優位性に、構造図の部材リスト情報がファミリとして定義されていること、梁下りやジョイント位置、断面角度などのパラメータが登録されていること、オートデスクからAPIが公開されているためにベンダーがアドインソフトを自由に作成できること、そして多くの構造設計部門で採用されていることを挙げた。
「Revit→FAST Hybrid」のダイレクト連携により、整備された構造モデルからのインポートが可能で情報が正確に伝わること、1万トンの鉄骨モデルをわずか30分でインポートできることで入力時間を大幅に短縮できること、そして製品重量や溶接長、材料リストなどの積算資料を参照できるといったメリットがある。「Revit」には仕口、スプライス、ガセット等の接合部作成に時間を要すること、モデル全体の詳細化が困難なことを挙げ、施工モデルとして活用できないといった弱点があるが、「FAST Hybrid」は接合部自動作成を得意する。
「Revit⇔FAST Hybrid 双方向連携」は、Revit鉄骨詳細モデルの構築において、構造モデル構造(設計者がスピーディーに接合部を作成)と施工モデル(意匠や設備との干渉チェックや積算、仮設計画、詳細モデルの利用拡大)というふたつの目的がある。また、Revit⇔FAST Hybrid 双方向連携には、リアルタイム連携、非同時一括連携、部分連携の3つの連携手法があるそうだ。今後は、連携精度の向上や連携手法の拡張を図るということだ。
石川氏は、ファーストクルーは今後のBIMへの取り組みとして連携対象の拡張を挙げ、「我々だけで解決できる問題ではありませんが……」と前置きした上で「BIMはゼネコンにとって確実にメリットがあり、コスト削減を生み出していますが、残念ながらファブリケーターには歓迎されていない」という実態を明かし、最後に「ゼネコンにもファブリケーターにもメリット生み出せるような連携ソフトを作りたい」という意気込みを語り、この日のセミナーを締めくくった。
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