これから通る道路のイメージを持ちやすくする「誘導系画像」
道路ネットワークの整備について最後は、カーナビで高速道路の分岐や交差点の右左折時などに表示される「誘導系画像」と呼ばれる整備コンテンツだ(画像58)。これは、一般的な四つ角の交差点ならまだわかりやすいが、幹線道路と幹線道路が交差するような大きな陸橋があるような場合に側道に入ってから右左折というようなケース、さらには五差路以上の複雑な交差点などで、よりイメージしやすいように案内をするものである。
また誘導系画像系の中には、幹線道路上によく掲げられている青地に白文字の方面案内看板をそのままモチーフにして進行方向の案内画像(画像58の右上のイラスト)が使われているが、まずはその方面案内看板のイラスト画像の整備から紹介していこう。方面案内看板の整備に関しては大きく3つの行程がある。まずは、これまで紹介してきたほかのデータの整備と同様に、現地調査からスタート。そして現地調査で得られた写真を参考に、方面案内看板のイラスト画像が制作される。そして完成した方面案内看板のイラスト画像を、最後に道路ネットワークと結びつけるという流れだ。
というわけでまずは方面案内看板の現地調査に関してから。まず特定の交差点に関する情報を整備することになったら、ゼンリンの調査部門に対して調査してほしい交差点の依頼を行う。選ぶ基準としては、例えば国道同士のような比較的大きな通り同士の交差点だ。今回は、都道302号線の通称「靖国通り」と都道301号線の通称「白山通り」が交差する東京都千代田区神保町の交差点(画像59)を例として話を進めていく。
1つの交差点に対する調査を行うポイントは複数ある。神保町の交差点は一般的な4つ角の交差点なので、靖国通りと白山通りのそれぞれ上下線、合計4本の通りが交差していることから、4方向の方面案内看板をチェックすることになる。
現地調査で撮影する画像は少なくとも各方面2点ずつ。文字の読めるイラスト制作用のアップ画像と、風景として街中がわかるようにしたロング画像だ(画像60)。もし交差点の信号などに交差点名がぶら下がっている場合は、それも撮影する。神保町の交差点にはそれがあるので、4方向それぞれ3点ずつ、合計12点の写真が調査部門から返ってくるというわけだ。
方面案内看板はいくつもあるので、どれを撮影するのかというと、対象となる交差点に最も近いものとして決められている。交差点からの距離は方面案内看板によって異なるので、交差点から何m以内という条件ではなく、単純に最も近いものとなっているというわけだ。
具体的に方面案内看板の内容を少し見てみると、4方向ある内、靖国通りの下り車線、つまり武道館方面を背にして隅田川方向に向いた場合は、直進すれば江東区の「亀戸」と台東区の「浅草橋」があり、白山通りで左折すれば東京ドームのある千代田区の「水道橋」、逆に右折すればマイナビニュース編集部のある千代田区の「平川門」という内容となっている(編集部の正確な所在地は一ツ橋だが、交差点の平川門に接している)。