Pクラスは、初級エンジニアを中級以上に引き上げることを目的としており、コースを回ってタイムを競うスタイルの競技だ。今年はより難易度が下げられ、技術の基礎を学ぶこと、そしてチャレンジするためのクラスとなった。レゴ・マインドストームNXTを利用した倒立2輪振子(平行2輪なので、バランスを取らないと前後どちらかに倒れる構造)ロボット=通称「NXTway」、「NXTway-ET」などと呼ばれている「走行体」を用いて行うワンメイクの競技である(画像4)。

画像4。走行体(チームCIC2014)。

具体的には、まず競技フィールドのベーシックコースをゴールまで走って、そのタイムを競う(制限時間2分以内)。インコースとアウトコースに別れて2チーム同時に2回走り、第1走と第2走ではインとアウトを同じチームが入れ替えて走る。特徴としては、ゴール後のボーナスステージでどれだけ難所をクリアできるかという部分で、クリアした難所が多いと、それだけボーナスタイムを得られ、走行タイムがより早いタイムになるというわけだ。競技の順位は、そのボーナスを加えたインとアウトのリザルトタイムの合計で競われる。

2014年のコースレイアウトは、Aクラスができたことから比較的難易度が下げられた。スタート直後の長いメインストレートの後(2013年まではあった坂がなくなった)、1コーナーからはRがきつめのコーナーが連続するS字区間となり、そこを抜けるとゴールという具合である。中間ゲートが3つあり、そこをクリアすると、ゴールできなくても5秒のボーナスを得られ、ゴールできれば10秒のボーナス。つまり、ゴールすれば自然と走行タイムから25秒が引かれるというわけだ(画像5)。

画像5。D部門Pクラスのコースレイアウト

そしてボーナスステージは特に敷居が下げられており、難所はインは「フィギュアL(FL)」もしくは「フィギュアLスピン(FLS)」とガレージ停止のみに。アウトは「ルックアップゲート(LUG)」のシングル通過およびダブル通過(1回戻って2回通過する)とガレージ停止という形となった。

難所をもう少し説明すると、まずインのFLだが、これは過去の難所として馴染みのある階段のバリエーションといえ、走行体を1段高いステージ(板)の上に乗り上げさせて通過すればOKというもの(段差があるので乗る時も降りる時も転びやすい)。ボーナスタイムは5秒だ。FLSはその乗り上げたステージの上で360度ターンを決めれば成功で(画像6)、ボーナスは10秒となっている。

アウトのLUGはここ数年使われ続けている難所で、走行体後方の尻尾を使って3点支持走行(いわゆる尻尾走行)で走行体をのけ反らせ、全高を下げてゲートをくぐるというもの(画像7)。いわば、リンボーダンスをするようなイメージだ。シングルで5秒、ダブルで10秒。なおガレージ停止はレゴブロックで作ったガレージ内のエリア内にキッチリ入って、レゴの壁にわずかでも接触せずに3秒間停止するというもので(画像8)、イン・アウト共にボーナスは5秒となっている。

画像6(左):FLSの最中。EEDの走行体。画像7(中):Team HARUYAMAの走行体がLUGを抜けたところ。画像8(右):ガレージインの様子

こうして記録された競技結果と同じ比率で評価されるのがモデルだ。D部門は競技とモデリングの両方がバランスよく優秀でないと優勝できないという、「調和平均方式」が採用されている(画像9)。つまり、競技結果だけがよくてもモデルの完成度が低ければダメだし、また逆にどれだけ完成度の高いモデルでも競技結果が伴わなければ、優勝は狙えないのだ。Pクラスのモデルの審査方針は、指定された機能を実現するための検討が十分かどうかの「機能実現」と、モデル内容を規定枚数のプレゼンシートで十分に伝えきれているかどうかの「表現」の2点となっている。

画像9。調和平均方式によるグラフ。計算式を用いて競技とモデルを共に0~1の間で点数化し、どちらも1点に最も近いチームが優勝となる