アートディレクター/マネージャーの杉本佳昭さんは、ビジュアル・コミュニケーション全体の企画・デザイン、ディレクションを手がける。最も多いのは広告の仕事で、デザイン、撮影、2D・3DCGまで製作関連をすべてアマナで担当している。
「他の人よりはけっこうアナログ派だと思います」という杉本さん。ビジュアルアイデアを考えるときの道具は紙と鉛筆・色鉛筆だ。取り出した色鉛筆はステッドラーのカラフルな三角軸のもの。ケース入りで、フタの部分を折り返すとスタンドになる。鉛筆も「シャープペンシルでなく鉛筆がいい」というこだわり。
デジタル作業ではマウスとペンタブレットを併用。ブラシなどの直感的な操作が必要なPhotoshopではタブレット、正確なレイアウトが必要なIllustratorではマウス、という使い分けだ。タブレットのペンが立てかけてあるのは、ナイキの仕事をした時にもらったという非売品の人形。翼はナイキのマークがモチーフになっている。
いくつかの成果物がブックスタンドに立てられている他は、ほとんどモノがない杉本さんのデスク。仕事の資料は溜めこまず、直近のものはデスク下のキャビネットに、その他は整理してロッカーに収納する。PCのデスクトップもドライブアイコンのみという徹底ぶり。「実際は一日でデスクトップが埋まるほどの量になったりするので、要らないものは思いきって捨てます」と言う。不要なものをバッサリ切るからこそ、必要なものが明確になるものだ。片づけの視点にもアートディレクターらしさが見える。
多様な個性一つひとつが活躍する集合体
ビジュアル・コミュニケーションのエキスパートとして、オフィスの環境にはこだわりを持つアマナ。どのフロアも天井が高く開放的で、職場中どの場所が素材集に使われてもおかしくない。業務の幅が非常に広く、多くの社員が働く職場だが、効率・均質を追求することはなく、一つひとつの個性が活躍する多彩なクリエイターの集合体となっている。多彩な職種のクリエイターが、それぞれに大変個性的なデスクで働いている様子から、そんな企業カラーが感じられた。