Microsoft管理製品の今後の展望
そのほか、「Tech Fieldersセミナー System Center祭り」では、Microsoft製管理製品の今後に関する情報も、高添氏らにより提供された。
まずは、昨年12月に米Microsoftが買収した、プロセス管理製品「Opalis」。同製品を使用すると、ベンダー各社の管理製品をつなぐかたちで、複数のプラットフォームが絡み合うプロセスを自動化することが可能。これまで、マイクロソフト製品の中でしか実現できなかった各種の自動化処理を、ベンダーをまたがって行えるようになる。
プロセスの定義方法も、ビジュアルな画面上でアイコンを罫線や矢印で結びプロパティ情報を入力するだけ。これまでのように煩雑な思いをすることはない。この製品が、来年をめどにMicrosoftブランドでリリースされる予定だという。
また、「Windows Intune」と呼ばれる、PC管理用クラウドサービスの開発を進めていることも紹介。Windows Intuneでは、アンチウィルス/アンチマルウェアの機能を提供するほか、更新プログラムの管理やクライアントの監視、レポート出力、リモート管理などの機能をオンラインで提供する。こちらも来年正式リリースを迎えることになりそうだ。
さらには、PowerShellの適用範囲を広げており、各種のGUIツールで行われる処理がPowerShellのスクリプトを呼び出して実行されるかたちに変更していることを説明。処理の前後には、実行されるPowerShellコマンドが画面上に表示されるため、PowerShellに不慣れなユーザーでも同じ処理を簡単に組めるほか、それをカスタマイズすることでGUIツールよりも柔軟な管理が行える。PowerShellは、「今後、運用の自動化/効率化を進めるうえで大きな役割を果たしていくことになる」(高添氏)ようだ。
加えて、中堅中小企業向けに「Microsoft System Center Essentials 2010」という製品をリリースしたことにも触れた。同製品を使うことで、クライアントPCの状態やソフトウェア構成が1つの画面で確認でき、各種のレポートを閲覧することも可能。ユーザーからは、「『Excelで作っていたPC管理台帳が不要になった』、『使っていないPCを把握できるようになり、ユーザーの嘘を見抜けるようになった』などの声をもらっている」と言い、中堅中小企業にクライアント管理機能をもたらす製品として重宝されていることを強調した。
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以上、「Tech Fieldersセミナー System Center祭り」の内容を基にSystem Centerおよび関連するMicrosoftテクノロジーについてご紹介してきたが、いかがだっただろうか。マイクロソフトが"運用の管理"という視点から、どうすれば各種の技術を運用の効率化に活かせるのかを考えて製品開発に取り組んでいることがおわかりいただけただろう。
なお、本誌では、「情報インフラの管理効率化」というタイトルのもと、5人のテクニカルライターによるPowerShell実体験レポートを掲載している。その中では、SCVMMとの連携について触れたものもあるので、興味のある方はぜひ参考にしてほしい。