ユーザーにストレスを与えずに、更新プログラムの適用漏れをなくす
マイクロソフト エバンジェリスト 田辺茂也氏 |
端末に対するきめ細かなソフトウェア構成管理を実現する管理製品。それが「System Center Configuration Manager」(以下、SCCM)である。マイクロソフトならではの技術がたくさん詰め込まれたこの製品に関しては、マイクロソフト エバンジェリスト 田辺茂也氏が解説を担当した。
SCCMは、ネットワーク上に存在するWindows端末のソフトウェア構成を把握/管理するためのサーバ製品になる。
同製品を利用すると、アプリケーション/更新プログラムの配布先や適用タイミングを詳細に指定できるほか、OSの展開も、直接端末に触れることなくネットワーク越しに行える。さらに、エージェントを介して各端末のリソースやソフトウェア構成を監視しており、その情報をさまざまな観点からまとめてレポートとして出力することも可能だ。
管理性という点で目をひくのは、ソフトウェアの配布方法にさまざまな選択肢が用意されている点。例えば、ユーザーの業務を妨げないよう更新プログラムの適用に1週間程度の期限を設け、期限までは適用タイミングをユーザーに任せて、期限が来たら強制適用させるといったことが可能だ。また、サーバの負荷を減らすために更新プログラムの自動適用タイミングに時間差を設けるといったこともできるようになっている。
さらに、SCCMでは、各端末の構成情報を取得できるため、Active Directoryと連携させて「営業部でOffice 2007がインストールされている端末を抽出して、該当端末のみ更新プログラムを自動的に適用させる、といったことも簡単に行える」(田辺氏)。
また、SCCMでは、レポート機能も充実させている。「380種類以上のレポートテンプレートが標準提供」(田辺氏)されており、いずれもWebレポート形式をとっているため、専用の管理コンソール等は必要ない。
加えて、ユーザー対応を意識した機能として、ネットワーク越しにクライアントPCにアクセスしてデスクトップを操作できるリモート管理機能も用意されている。こちらに関しては、Intel vPro対応端末では「コンセントに電源コードが接続されていれば、端末の電源が入っていない状態でもリモートで立ち上げて操作できる」(田辺氏)という。
なお、管理対象には、クライアントPCのみならず、サーバやモバイル機器、仮想マシンなども含めることができる。ネットワーク内の端末をトータルに管理できる製品になっている。
システム全体の状態が一目でわかる監視製品
Windows以外のOSやネットワーク機器も含めて、システム全体のヘルス状態を監視することができる製品が「System Center Operations Manager」(以下、OpsMgr)である。
マイクロソフト エバンジェリスト 安納順一氏 |
前述のSCCMは、ソフトウェア構成管理という観点から端末の状態を監視することが可能だったが、こちらは「正常に動作しているかどうか」という視点で、アプリケーション、OS、ネットワーク機器、メールサーバ、Webサーバなどから必要な情報を収集し、現在の状態をわかりやすく表示することができる。
システム管理者が常に目に入れておくことになるこのOpsMgrについては、マイクロソフト エバンジェリストの安納順一氏が解説を担当した。
OpsMgrのポイントは、何といっても「さまざまなデバイスの監視を一極集中できる」(安納氏)点にある。
「システムによっては、ソフトウェアや機能ごとに監視ツールが異なるというケースも少なくない。そのような環境では、トラブルが発生した際に原因を突き止めるのが難しく、解決までに時間がかかってしまう。それに対し、OpsMgrでは、ネットワーク上に存在するさまざまな種類のデバイスを集約して監視することができる。トラブルが発生した際も、すぐに事象に気付き、原因を特定し、解決の手立てを見つけられる」(安納氏)
では、なぜそのような一極集中を実現できるのか。その秘密を安納氏は次のように語る。
「実は、OpsMgrが担っている役割は、"管理用のコンソール"を提供することだけ。監視データの収集部分は、監視対象の製品開発者に開発してもらっている。監視対象がMicrosoft製品でなければ、外部のベンダーが開発を担当することになる。管理コンソールを作るのは意外と手間のかかる作業。であれば、われわれがその部分を代わりに提供することで、ベンダーも負担が減ることになる。稼働状況を監視/管理するうえで何の情報を収集するべきかは、当然、作成者が一番よく知っているのだから、互いに協力したほうがよいものができる」(安納氏)
OpsMgrの監視対象を増やすには、対象製品の開発元から無償(一部有償)で提供されている「管理パック」を取り込めばよい。なお、OpsMgrでは、前述のとおり、クライアントOSやアプリケーションに関しても稼働情報を収集することができる。したがって、『PCのパフォーマンスが悪い』、『Excelがときどきハングする』など、クライアントで完結するトラブルについても追跡することが可能だという。
また、管理パックについては、ユーザー側でカスタマイズすることも可能だ。既存のモニターやルールの閾値を変更したり、独自開発の業務アプリケーションに対して専用の監視機構を組み込むこともできる。
以上のように、さまざまな製品のヘルス状態を表示する"コンソール"として機能するOpsMgr。当然、そのUIには気を配っている。
「OpsMgrは、直観的なUIになっていて、問題が発生したら、システム全体のビューから次々とドリルダウンしていけば原因部分に行きあたる。また、各項目上で右クリックすれば操作可能なメニューが表示されるので、『気になる項目があればとりあえず右クリック』という感じでいじっていれば、どんなことができるのかだいたいわかってくる」(安納氏)
OpsMgrの画面には、問題の解決策も表示されるうえ、リンクをクリックするだけで推奨解決策が実行されるものもある。管理の自動化という点で大きな役割を果たす製品になっている。